どうもあまり市場では大きな話題になっていないようですが、現行内閣の広報紙のような存在である産経新聞が報じたところでは金融庁は既に年内に店頭FX業者のレバレッジを正式に10倍に規制する見込みで、取引所FXのほうはそのままにして差をつけることを画策しているようです。
現状ではまだ何も決まっていないというのが公式見解ですが、日本に金融庁なる役所が登場して市場に規制をサラウンディングしはじめてから規制内容が緩和したことは一度もないだけに恐らくこのレバ規制はそのまま実施に移されることになるのだろうと思います。
なぜ今この規制を強化する必要があるのはさっぱりわかりませんが、すでに店頭業者の取引額の100分の1程度になってしまっている「くりっく365」をなんとか助けたいという力が働いていることも強く感じる次第です。
10倍レバが実施になるとFX取引の国内規模は大きく縮減
現状における国内のFX取引の年間規模は「5000兆円」と言われています。
売っても買っても取引になるわけで、同じ証拠金を利用して10回取引すればそれがすべてカウントされるわけですから膨大な市場が形成されていることがわかりますが、この市場の最低8割がドル円の売買ですから、すでに国内ではドル円の取引、とくに円安を支える取引としてはかなり本邦の個人投資家が介入とは別の意味で役にたってきたのではないかと思われます。
これがレバ10倍になってしまうと単純に市場規模は2000億になりかない状況ですから、ドル円の売買もその8割の1600億ということで、レバ規制が起きると実はドル円はかなり円高に進んでしまうのではないかというリスクも高まりそうです。
選択肢は三つに絞られる
年内に店頭業者のレバが本当に10倍になった場合には個人投資家としては次のような選択肢を考えることができます。
1)証拠金の額を今までの2.5倍に増やして引き続き店頭業者で売買する。
2)くりっく365に口座を開設して1万通貨単位で25倍のレべを確保する
3)この際海外の業者に口座を開設してハイレバを利用するという三つになります。
ただ、国内のFX業界では店頭業者がいままでのような利益を確保できなくなることから統廃合も相当進むことが予想され、資金を用意してもこれまで利用していた業者が消滅することも考えておく必要があります。
またくりっく365は25倍が維持されたとしても1万通貨単位からの売買ですから資金はこれまでよりも大きなものが必要となり、スプレッドも決して条件はよくありません。
ただ税制面では国内業者に適用されてきた申告分離課税が適用されますし損失は3年間繰り越しかのうなのでこれまでの国内業者利用メリットはすべて確保されることになります。
さらにこの際海外の業者に切り替えると考えた場合、たしかにハイレバレッジは利用できるようになりますが入金と取引は違和感がないものの、いざ出金となると海外から資金を国内に戻すことになるためことのほかコストがかかるのに加え、利益は総合課税になりますからほかの所得と合わせて税率がかわりますので高額所得者ですとかなり増税になることを覚悟する必要がでてくることになります。
詳細は金融庁から正式決定がでてからこのコラムでも引き続きご案内しようと思いますが、いまからこの先のFX取引をどうしていくべきなのか早めに考える必要があることは間違いありません。
個人のFX投資家にとっては決してうれしくない状況が刻一刻と迫りつつあるようで、早めにどのように考えていくのかについても真剣に考える必要があります。
しかし先進国を見まわしてもレバレッジを10倍にしている国などは見当たりません。なぜこれが業者の破綻リスクを低下させる手法なのかはいくら説明を聴いてもまったく理解できないのが正直なところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)