ゴールデンウイーク期間中予想以上に上値を伸ばしたドル円ですが、FOMC以降は完全に失速状態でそもそも買い仕掛けを行った短期の投機筋も3円以上の利益を確保して、一旦は買い終了の可能性もあり、週明けどのように動いていくかが注目されるところです。
ドル円4時間足
4時間足でみると一旦買い上げの期間は終了に見える
長い時間足でみますと依然上方向を目指しているように見えるドル円ですが、4時間足では今回の上昇が一旦収束したようにも見え、雇用統計後も109.300円を上まわれないままに推移していることから、再度上値を試すことができるのかどうかが大きなポイントとなりそうです。
110円の滞留時間が短かったことからどれだけ本邦輸出勢のリーブオーダーをこなすことができたかは不明ですが、週明けさらに上に置いておいた輸出勢が売りレベルを下げてくると上値は相当重たくなりそうです。
一方この休み中に108円以下に大量に置いてあったとされる、買いのリーブオーダーもその後どのように動いてくるのかが気になります。
これが本当に武田の関連の買いなのだとした場合来週買収が正式合意となった場合には、時間との闘いで買い上げてくる可能性もあり、こうなると下値もかなり堅くなることから場合によっては再度110円方向を買いあがることも十分に想定されます。
M&Aネタの場合どこまでどのように消化されているのかを知る由がないことからあまり無理をして一緒に買いあがりますと、ひとり取り残される危険性もありますのでかなり慎重に対応することが必要ですが、押し目を待っていると押し目なしの状況になることもあるのでなかなか微妙です。
米中の貿易交渉は難航の模様
Photo Reuters
北京でこのゴールデンウイーク期間中2日間にわたって開催された米中通商協議は、大方の予想どおり双方が大幅譲歩を要求して譲らず、事実上の物別れになったようで、北朝鮮に絡んで明るい状況が継続しているのとは裏腹に、米中両国は互いに数百億ドル規模の輸出品に関税を課す可能性が高まっており、共同声明に対する合意すら得られずに米国の交渉団は中国を後にしています。
いまのところトランプ大統領は今後の交渉に期待するような発言をしていますが、齟齬の部分がどこなのかが今後つまびらかになることによって、その交渉の食い違いの深刻さが浮き彫りになるリスクもではじめてきています。
ひとごとではないのは日本と米国との通商交渉の問題で、まずは中国とのツメがはじまっていますが、ほどなくしてやっつけやすい日本との交渉も開始されることから、貿易赤字の減少について明確なコミットが得られない場合には為替で恫喝をかけられる恐れもあり、110円から上にドル円が上昇した場合には相当買いには注意をしながら対応する必要がでてきそうです。
これまでのところ米国は為替報告書に事実上25%近く円が安く展開しているとの指摘をしてはいますが、具体的な相場水準について要人がその数字を口にしたことはないことから、当座で容認できる水準がどこなのかを見極めるのは極めて難しくなっていますが、赤字を為替が減らすとなれば1%や2%下げる話ではまったくなくなることから、少なくとも100円を下回る水準まで押し返されるという理不尽な状況に追い込まれることも十分視野に入れておくことが必要になりそうです。
とくに中国、欧州に比べますと日本は叩きやすい存在だけにトランプが為替に言及することは非常にリスクになりそうで、中間選挙に向けてこうした発言がいつ飛び出してくるのかが気になります。
今週に関しては上方向も下方向も動きは限定的になりそうですがトレンドが変化したかに見えたドル円相場がレンジ推移に再移行するかどうかを確かめて売買していきたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)