いよいよゴールデンウイークも後半に差し掛かってきており木、金は本邦勢も不在の状況ですが、どうも今年に限ってはドル円も上値を試しそうなほどドルが強い状況が続いており、例年とは異なる動きを示現しそうな雰囲気になってきています。
これは必ずしもドル円だけが強いというよりはドルが主要通貨に対して全般に強いことが起因しており、昨晩はLondon Fixでとうとう110円をつけるところまで強含む展開となってしまいました。果たしてさらに上値を試す展開となるのかどうかが今週のポイントになりそうです。
FOMC声明は年4回の利上げを躊躇
朝3時に発表されたFOMCの政策金利は予想通り据え置きとなっていますが、声明のほうは若干強気な部分も残しながら年3回の利上げを引き続き維持する内容となっているものの4回の利上げには躊躇していることが見受けられたことから発表後は一旦ドル円の沈みこむ動きになっています。
ただ、下値は109.600円を若干割ったところで収まっており、かなり底堅いことも確認した動きとなりました。
110円台は相当重たい状況継続
ゴールデンウイークの連休といっても本邦勢不在は2日間だけですから、大きな動きがでるかどうかですが、昨晩の状況を見ていますと110円に載せてもすぐ押し返されていますから、想像以上に本邦輸出勢のリーブオーダーがびっしり残っていることがわかります。
逆にストップロスはあまり置かれていないようにもみえますので110円台をどんどん買い上げていくのも相当難しそうな状況が垣間見えます。今週は金曜日に雇用統計も控えていますので、指標好転を睨んでドル円がさらに買い上げられる可能性も考えておく必要がありそうです。
ゴールデンウイーク中にドル円が110円をつけてしまうとは当初から全く想定していなかっただけにドル円の強さが非常に目立つ状況ですが、110円を超えて行っても111円台まで届くのには相当な力が必要になりそうで、どこまで上値を伸ばせるのかが注目されます。
連休明けまでには武田薬品のアイルランドの製薬大手シャイアーに対する買収提案の期限を迎えることになるためこれが成立すれば為替市場にもそれなりの影響がでるとの見方が広がっており、ポンド買いはドル円を買ってポンドドルを買うという形になることからドル円もポンド円も両方の上昇が期待できることになりそうです。
ただし、現金の支払いが3兆円分以上といっても金融機関から借り入れを行った場合為替市場にはその動きが出ない可能性も高くなりますし、ドル円での調達が既にある程度の目途がついている可能性もあることから、まるまるこうした金額が市場に売買となって示現するかどうかはよくわからない状況です。
実際に市場にこうしたディールが出た場合には7円から14円程度のドル高円安となる可能性がありそうですが、4月の104円から考えれば111円で7円となりますからそれほどここから上昇しない可能性も高く、こうした案件に乗るかどうかもそれなりの判断を伴うことになりそうです。
トランプがドル高に何か釘をさせば状況一変
今回のドル独歩高にはさまざまな要因が重なっているように思われますが、米国にとっては決して心地いいものではありませんから、どこかでトランプからドル高に対するけん制が出れば一転してドル安に動くことも想定されるため、過度なドル高の継続には相当注意が必要になりそうです。
とくにユーロドルのドル高も想像以上に進んでおり、ユーロ買いを積極的に行ってきたファンド勢がほどき売りに出た場合には1.18といった低レベルまでユーロドルが下落し、それと逆相関の関係でドル円がもう一段上昇してしまうといったこともあり得そうで、あくまで相場の動きで今後の方向を探ることが必要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)