1日のNYタイムはISM製造業景況指数が悪く一瞬ドル円も下落しましたが、ロンドンタイムから上昇を続けた動きは止まらず結果的にLondon Fixで109.800円に迫る勢いで上昇をすることとなりました。
この日NYダウは一時的に300ドルを超える下落を示現することとなりましたが、ドル円のほうは全くお構いなしで債券金利の上昇のほうにつられて値を上げるというなかなか強引な展開となってしまいました。
109円80銭から上は相当重たそうに見えましたが、それでも早朝の引け間際には109.900円に迫るところまで再上昇し、強含みの展開となっています。
110円まで届くかどうかが大きな注目点
すでに109円台後半からは本邦輸出勢のリーブオーダーもかなりおいてあるはずで、そう簡単には上昇しないエリアに突入することとなっていますが、これをどこまで崩して連休後半に突入するかが注目点となりそうです。
このドル円の上昇は主要通貨に対して非常にドルが強い展開になっていることに起因しているようでドル円だけが特別な要因で大きく持ち上がっているわけではない印象が非常に強く残ります。
多少想定よりは上方向まで上昇しましたが、ここからは丹念な売り場探しの機会を探すことになりそうです。既に東京タイムは市場参加者もかなり少なく「すかすか」の状態で特別方向感は感じませんがそれだけに少ない勢力で相場を動かしやすくなっているようですから、想定以上にオーバーシュート気味の展開となることにも注意が必要になりそうです。
110円は長時間揉んだレベル
ドル円の110円台はこれまで下落する途上でかなり長時間もんだレベルとなることからここから簡単に上抜けていくことはかなり難しそうです。
ただ、下値もかなり堅くなってきていますから、連休後半に向けて押すことがあったとしてもどこまで下落するのかにも注目が集まります。しかしNYダウは既に好決算を織り込み済みとはいいながらどうも弱含みの展開が継続しており、毎日株価のぱっとしない日が続いています。
「Sell in May」ですから、まあこんなものだといえばそれまでですが、投資家にとってはもう一つ元気の出ない相場状況で、3%台から一旦下落した米国10年債利回りもまた3%に接近する動きを見せており、ドル円も方向感を探るのがかなり難しくなりつつあります。
国内では北朝鮮の和平の話で持ち切りですが、米国ではフランスのマクロン大統領が訪米して話が詰められたはずのイラン核合意の問題が必ずしもうまくいっておらず、寧ろ北朝鮮よりもイランの問題がどのように解決するかに注目が集まりつつある状況です。
この内容次第ではまたリスクオフでドルが一転して売られる相場も考えられるだけに相当注意が必要です。本邦勢はすっかりお休みモードですが、今週は米国ではFOMCがあり、週末には雇用投機を控えていますのでそれなりに相場が動く可能性も考えておく必要がありそうです。
市場全体としては共通のテーマが失われつつあるようにもみえますが、政治から経済へと関心が移行しつつあるのも事実のようでFRBの利上げの動向にも注目が集まりそうです。
武田薬品のM&A狙いでポンド円の上昇狙いで買いを入れた向きもどうも今回ばかりは大失敗であったようでこうしたM&A狙いでの売買というものの難しさを改めて感じさせられた次第です。
とくにメディアで報道されますと多くの市場参加者が同様の行為を行ってしまうため、想定方向とは違った方向に相場がうごきだすと一斉に投げがでたりすることから、今回のポンドの動きにかなり泣いた方も多かったのではないでしょうか。
足元では経済指標も悪く、とてもではないですが5月利上げにもならないようで、ここ1週間あまりでもっとも市場を騒がせているのはポンドかも知れません。
(この記事を書いた人:今市太郎)