ユーロドルはここのところ投機筋のユーロロングの出来高が猛烈に増加しており、出口に対する期待が依然として高い状況を示してきましたが、26日に開催されたECB理事会後のドラギ総裁の会見では、景気の勢い低下を認める発言が飛び出したことから上下にぶれたユーロドルは結局下抜けする形で下落することとなり、ユーロドル取引の難しさを改めて示唆する相場となっています。
出口に向かっていることは間違いないわけですが、だからユーロ買いをして待っていれば自動的に儲かるというほど相場は生易しいものではなく、一方向への動きを決めてかかるのも非常にリスクが高いことを改めて感じさせられる相場展開となっています。
ECB理事会後は毎回相場が上下に大きくブレるものですが、今回も過去のケースに負けず劣らず大きくブレて下抜けする結果となっています。
市場は織り込み始めているが出口に向かえないECB
ECBの出口論は昨日今日に始まった話ではなく、さすがにこのままの緩和措置が継続するはずもないことから投機筋はそのタイミングを狙ってユーロドルのユーロ買いに賭けている印象が強くなっています。
しかし、昨年から今年3月に向けてのドル円の異常なほどの買い持ちといい、足元のユーロ買いといい方向性は確実にあっているとはいえ、相場が期待通りに動かないことも往々にしてあることから結構目論見が外れることが多く、今回のような刹那的な下落のみならず、こうした投機筋の買いのほどき売りがではじめますと、ユーロドルはさらに大きく下落するリスクも残っており、なかなか買い向かうのが難しい状況になっていることがわかります。
ECBとしてはユーロが下落したほうが色々都合がいいことからドラギ総裁もあえてハト派的な発言でユーロの上昇を冷やしているようにも見えますが、やがて緩和の巻き戻しが到来することだけは間違いありませんので、どこからこうした動きに対応すべきなのかがユーロドルの大きな課題になりつつあります。
過去年間で2000PIPS以上動くのが当たり前だったユーロドルはここ数年その動きが非常に狭くなってきており、投資妙味に欠ける存在になりつつありますが、米国債券の金利も上昇傾向になり、株価が大きく下げた場合にはユーロドルが跳ね上がる可能性もまだまだ十分に考えられることから、底値をどこで買い向かうかも大きな課題になりそうです。
日欧中銀の政策が出口に向かわないことがバブル相場を温存
米国ではボルカールールの完全撤廃でまたしても債券市場を中心に妙なバブル相場が展開しはじめていますが、これも日欧の中央銀行が完全に緩和措置から抜け出ないことが依然として大きな後押しになっていることは確かで、欧州中銀が完全に出口に向かうことになればこの中銀バブルによる過剰流動性が一気に解消して相場が大きく巻き戻しになるリスクが残っていることも確かです。
ドラギ総裁もそのリスクを感じているからこそ安易に出口に向かわないようにしているようにも見えますが、どこかで舵を切ることは間違いないだけに、ここからは我慢比べになる可能性もありそうです。
個人投資家の場合中央銀行の政策変更や相場の変動観測から早めにそれに対応したポジションを保有し続けるのはかなり難しいものがあり、とくに相場の下落を狙ったものの場合には結果的に想定した通りの動きになったとしてもなかなか利益を獲得できない難しさを感じます。
とくに相場の暴落局面というのは材料が何であれそのタイミングを正確に当てることが非常に難しいだけにユーロドルにおけるユーロの大幅上昇というのもいつかはやってくるとは言え、それを今から準備するかどうかは非常に判断のわかれるところになりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)