読み込み中...北朝鮮の金正恩が核実験の中止を突如として表明し話題になっています。北朝鮮の報道によると核実験施設の廃棄を決定し、４月２１日より核・ＩＣＢＭの実験を停止するというもので朝鮮労働党中央委員会総会で金正恩自らが発言したものとされています。
今のところ北朝鮮からの一方的な報道にすぎませんから米国、中国、ロシアのいずれかの国と文書による確認ができているものでもないことから過去のケースに基づけばとんでもない究極のだましになる可能性もありますし、体制維持というお墨付きで核を本当に放棄する可能性もでてきています。
ただ、この間北朝鮮は中国、ロシア双方とも協議を行っているので、なんらかのお膳立てができてこうした発表に至っている可能性もあり、最初から嘘と決めつけるわけにもいかず、どう評価するのかが大きな問題になりそうです。
さすがに軍事研究コラムではないので、どちらが本当なのかを深く分析することは不可能ですが、為替に関して言えば北朝鮮リスクでドル円が円高に動くことはかなり低減されることになりそうで、果たしてこうした北朝鮮の発言を好感してどこまでドル円が買われることになるのかが注目されます。
トランプの顧問団は北の罠と分析
北朝鮮からの報道を受けてワシントンポストが報じたところによりますと、トランプ米大統領の顧問らは、北朝鮮が今後核実験とミサイル発射実験を中止すると発表したことを懐疑的に捉えており、北朝鮮の約束は「罠」だと考えているようで、そう簡単に非核化が進むものではないとかなり厳しく見ていることがわかります。
長年にわたって騙され続けてきた国ですから、報道一発で簡単に和平が実現するとは思いにくいことも事実ですが、これが実現することになれば米朝首脳会談に向けて期待感から一定のドル買い円売りが強まる可能性も排除はできません。
ただし、同じ米国から日本が貿易赤字解消で受けるプレッシャーのほうが同時期はるかに大きくなることも想定されるだけに北朝鮮ネタだけで果たしてどこまでドル円が上伸するのかについても関心が高まりそうです。
国難と煽って圧力一辺倒を語ってきた安倍政権には打撃か
国内政治はもりかけに自衛隊の幻の日報、さらにセクハラ財務事務次官問題でぼろぼろの安倍政権にとってはトランプにおすがりして拉致被害者が戻ることでもあれば起死回生ということだったのでしょうが、この非核化が拉致被害者の解放につながるのかどうかは全く不明で、義憤にかられたトランプがどこまで拉致問題に対応するのかも正直なところ不透明な状況です。
また非核化が本当に実現した場合北朝鮮をネタにして国難を訴えるというこれまでの目くらましのような安倍政権のいかがわしい政治手法は完全終了に追い込まれることになるため、果たして米朝首脳会談の実現までこの政権が維持できるのかどうかも危うくなりつつあるように見えます。
安倍首相退陣、麻生辞任などというヘッドラインが踊っても本来的にはなんら国政にも金融政策にも影響はないものと考えられますが、まがりなりにもアベノミクスなどという名称をつけていただけにその張本人が退陣するとなればすく悪ともアルゴリズムだけはそれなりに反応することが考えられ、ここからのドル円相場はドル高と円高が綱引きを繰り広げることになるのかも知れません。
ただこうした材料はどれも短期投機筋が喜びそうなネタばかりですから長続きするものとは思えず、投機筋が買いで動けばどこかで反対売買がでる類のものにすぎないことも頭に入れておく必要がありそうです。
相場は次なる材料を探しているだけにこの北朝鮮関連のネタがどこまで影響するか気になるところですが、週明けまず相場に影響を与えるのかどうかから注意深く見守っていきたいところです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
