読み込み中...16日週のドル円は日米首脳会談前にリスクオフから下値を探りにいく動きから始まりましたが、結果的にいうと106.881円以下にさ下がらず、底値を確認したところで上昇に転じ、首脳会談で決定的な内容が出なかったことから一旦買戻しが入る展開となりました。
この動きは買いが強まっているとは言えない状況でしたが、20日の東京タイムから米系短期投機筋と思われる買いがかなり強く入り始め、ロンドンタイム以降もドル買いが強まって108.856円まで買いあがる展開となりました。
このままストップロスをつけて108円台に踏み込んでいけば週明けからの展開はかなり明白になったのですが、その後米株が大きく崩れだしLondon Fixに大量のドル売りが出たこともあってドル円はあっさり107.500円レベルまで急反落することとなります。
その後は週末ということで啼かず飛ばずの状態が続きなんとか107.600円レベルで週の取引を終了しています。
上値追いの勢いはかなりそがれてきた状況
先週を一週間通してみますと上値を追いかける動きが明確に出てはいるものの108円を超えてどんどん上昇していくかどうかはもうひとつよくわからず、しかも上昇の圧力は徐々に薄れ始めているのが気になります。
また先週金曜日の動きを見ていますと、それほどドル円にはショートが溜まっているわけではなく、ストップをつけることでショートカバーだけで108円台中盤まで買いあがれるのかどうかにはかなり疑問が残る状況です。
この手の戻りはとかくオーバーシュート気味に展開しますのでもちろん109円台に手が届く可能性もまったく否定はできませんが、買いの主体が短期投機筋で明らかに半期決算の利益稼ぎのように見えますから上がらなくなれば当然反対売買が登場することになり、今週果たしてどこまで買いあがることができるのかが大きな注目ポイントとなりそうです。
じわりとにじみ始めるのが日米首脳会談のツケの部分
日米首脳会談は2勝1敗で日本政府の勝ちなどと呑気な見方をする専門家ももいるようですが、トランプにとってこの手の会談はまさにビジネスのディールにすぎず、何も得るものがないのに相手に花を持たせてやるほと生易しい爺さんではないことはよく理解しておかなくてはなりません。
北朝鮮を巡って本来はまったく蚊帳の外においた安倍総理の行動や姿勢をお世辞としか思えない賛辞をもってねぎらったのは何かとの好感があったからに外ならず、拉致問題には一定の義憤があったのだろうとは思えますが、裏側で進んだ取引が具体的に米国サイドからじわりじわりとにじみ出る一週間になるのではないかと思われます。
とくにTPPか二国間交渉かという話はすでに米系目エディア衆人環視の中でトランプから安倍総理が言質をとられてしまう一幕があり、FTAという言葉こそ気をつかって出てきませんでしたが、日米の貿易交渉は間違いなくFTAの締結に向けて突き進むことになるものと思われます。
また為替報告書に記載されていた25％程度の円安という厳しい評価についても今のところ要人は口にしていませんが、トランプのツイートや具体的に対日交渉にあたる鬼のハードネゴシエーター、ライトハイザーの口から発せられることになればドル円相場は一転して円高になりやすく、事前にある程度確約をとられてしまった内容次第では今後の交渉過程で為替の話がたびたび持ち出される危険性もありそうです。
今週は27日に日銀の政策決定会合を控えていますが、円安誘導とみなされないように相当言葉を選ばざるを得ない状況になることは間違いなく、放言が目立つ麻生大臣ですら口先介入につながるような余分な発言は厳に慎まざるを得ないことになるのではないでしょうか。
今回の交渉では単に貿易を巡って平行線でこれから詳細を詰めるというのとは異なる流れがでることも想定されるだけにここからのメディア報道とトランプのツイートに十分注意していきたい週になりそうです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
