週明けの東京タイムは前週のNYダウの下落をうけて日経平均も大きく値を下げる動きとなりましたが、一旦下落を縮小したことからドル円は105円台に回復する場面も見られましたが、かなり上値は重たそうで、ここからは米株の動き次第の状況になりそうです。
なぜ米債金利は上がらないのか?
ところで、米10年債金利のほうは3月初旬まで大きく金利が上昇する局面になりましたが、一旦小休止でいまのところ3%を超えそうな感じがしなくなりつつあります。
これは結構不思議な状況であると思われている方も多いと思いますが、CMMのデータを見ますと2月後半から大きく10年債の売りをファンド勢が積み上げたわけですが、あまりにも売りが積み上がり過ぎたことから投げがでて金利が逆に一旦下がってしまった状況がこうした金利の低下を招いているようです。
しかし3月26日に発表されたデータではまた少しづつ債券売りが積み上がっており、ファンド勢はここから米債が上昇するとみていることがよくわかります。これで明確に米10年債が3%を超え始めた場合には株式市場はさらに下落に拍車がかかるリスクが高くなり、場合によってはNYダウは二番底どころか2月の下落を上回る下落すら示現しかねない状況です。
こうなるとNYタイムの株価がかなりドル円にも影響を及ぼすことになりそうで、引き続き株価と債券金利には注意しながら売買をしていく必要がありそうです。
米国は日本に難癖つけてFTA交渉に持ち込むつもりか
ところで対中国のみならず、日本もかなり厳しく対米貿易黒字の解消について米国から譲歩を迫られるのが必至の状況になりつつあります。
こうした中ではもはや円高に対して口先介入すらできませんから、短期の投機筋がそれを十分に理解したうえで、月末から4月初めにかけて仕掛けで大きくドル円を売り込んでくる可能性も出始めています。今米国に対してもっとももの申せないのは日本であることを市場は衆人環視で理解していますから、為替もかなり危険な状況といえそうです。
米国は日本の自動車業界の対米輸出が減ることを前提にすればドル円100円以下にすることも辞さずという発想が登場することは十分にありえそうですから、とにかくここからはドル円のショートが溜まり過ぎてこれ以上下がりきらないというところが見えるまでは迂闊にロングで買い向かうのはやめておいたほうがよさそうな状況です。
米系ファンドは米株を全力売り模様
米系ファンドはNYダウが三角持ち合いを下抜けたことから先週後半にむけて全力売りをしているようでナスダックのビッグ5銘柄も悉く売られる状況が続いています。
こうした主力銘柄が弱含んだ場合全体の株式指標もさらに悪化するリスクは高く、かなり注意が必要です。今週は金曜日がグッドフライデーで米、英、独、仏、スイス、カナダ、豪、ニュージーランドの市場がお休みとなることから実質的に木曜日までの取引となり月末の需給も木曜のLondon Fixまでに登場することにも注意が必要です。
したがって相場が大きく下落しても底値からは一旦回復する可能性も考えながらあまり下値を突込みすぎない工夫をしながら売買することが重要です。
いずれにしても株も為替も相場は下方向をかなりにらんだ動きをしていますので、レベル感から買い向かうことは相当無謀であることを意識しなくてはなりません。
輸出勢もすでに105円以上にドル円が戻らないことを想定し始めている可能性があり、そこそこ戻したところでは売りを入れてくるリスクも高まります。
今週は年度末ということでインターバンクも機関投資家も無理をした売買はしてきませんので、意外に下値を支える向きがいなくなり、大きく下抜ける可能性もありそうで、十分に注意して売買しなくてはなりません。
(この記事を書いた人:今市太郎)