FOMC通過で一息ついたかにみえた相場でしたが、トランプ米政権は中国への知財侵害関税、500億ドル相当の賦課を発表し署名をしてしまったことから、一旦事実で買い戻されかけた米国の株式相場は結局激しく売られることとなってしまいNYダウは前日比724ドル強の下落を示現。
ドル円も一旦105.800円レベルまで戻したのにそこから滑り台のようにずっと値を下げて105.300円レベルでNYタイムを終えています。ここから東京タイムでどこまで下落するかですが、おそらく105円を持ちこたえるのはかなり難しくなりつつあるのではないでしょうか。
むしろ104円台に突入した場合どこまで下値を追う形になるのかが非常に大きな関心事になりそうです。105円は心理的な節目ではありますが、確実に止まるレベルではなく、オプション設定もあるものの、抜け始めるとそこからの動きはかなり早くなりそうな状況です。
愚直なまでに政権公約を守り抜こうとするトランプ
トランプ大統領は何を考えているのかといった批判も飛び交いはじめていますが、彼は政権発足時の公約をひたすら履行し、貿易赤字の解消に努めており、ある意味でまったくぶれない政治を粛々と行っていることがわかります。
それによって株価などが大きく下落するのもおそらく最初から想定済みで、ゴールドマンサックス出身者を多く政権の高官に起用したことからウォールストリートと近しい存在などともみられましたが、結局のところ株価などどうでもいいのかも知れません。
逆に大暴落が起きればクリントンの周辺にたむろしていた軍産複合体系統の人間が消えてなくなることになりますから、好都合で、しかも本格的な財政出動によるインフラ整備もしやすくなりますからトランプ、中国起因でこの春さらなる暴落が起きるリスクについても覚悟しておく必要がでてきているようです。
NYダウは完全に三角持ち合い下抜けで2番底探しか
このコラムでも既にご紹介していますが、アナログ分析と呼ばれる過去における相場の同様のチャート形状をあてはめて将来的な相場の方向感を予知する分析を利用しますと、足元のNYダウは大きく下落する途上にあることされております。
これが本当に起きるのかだましに終わるのかをファンドなどの市場関係者が注目していたわけですが、奇しくもそのボタンをトランプ自身が押してしまったことになり、ここからどこまで相場が下げるかが非常に大きな注目点となりつつあります。
中国の対米報復が米債売りとなれば相場大暴落もありえる
中国サイトは失望を隠さないコメントを出し始めていますが、当然報復も用意しているようで、それが1兆2000億ドルも保有する米債の売却という行動で示現された場合金利の急上昇から米国の株価は我慢できなくなりさらなる暴落を引き起こすことは十分にありえそうです。
もちろん世界最大の保有国の中国にとっても損失は大きく外貨準備にも大きく影響を与えることになりかねませんが、戦争ですから犠牲はつきもので、米国の株式相場の大幅下落という形で目にものをみせてやるといった衝撃的な行動に出るリスクは相当高まりつつあると言えます。
とくに年初から中国系の格付け会社が米債の格付けを下げるという行動にでており、すでにこの予告編は展開されつつあります。
リーマンショックのときに比べますと株式相場にはサーキットブレーカーが設定されており、一定以上の下落では取引中止になりますから、数字上の大暴落というのはなかなか起こらなそうですが、トランプの大統領選挙勝利前ぐらいにまで巻き戻してもなんらおかしいことはありませんから、ドル円も101円方向を相当注意しておいたほうがよさそうです。
これにABEXITのおまけでも重なることになればこの春100円割れもまったくない話しではなくなってきている状況です。
(この記事を書いた人:今市太郎)