ここへきてドル円はかなり米国10年債の動きに連動するようにはなっていますが、実際にこれまで長く続いた正相関は回復したのでしょうか?今回はこの件について改めてチェックしてみることにします。
年明けから相関が崩れたドル円と米10年債利回り
DATA 日経平均AI予想 https://nikkeiyosoku.com/dgs10/
過去1年ほどのドル円と米国10年債利回り、ならびに日経平均との相関を見ていきますと、昨年末まではかなりの相関性をもって動いてきたドル円と米10年債が年明けからすっかり逆相関のような形となり、むしろ日経平均と連動しているかのような動きを強めていたことがわかります。
特にこの3か月余りだけにフォーカスしますと、完全にドル円と日経平均は弱含み状態で相関しながら動いていることがわかります。
東京タイム、足元ではドル円が弱くても日経平均だけ強含む場面もみられたわけですが、後から冷静にチャートをチェックしてみますと意外に日経平均とドル円は連動性が強い状況が続いてきたことがわかります。
過去3か月の動き
既にドル円と米国10年債利回りは大きく乖離したままではありますが、ごく直近の動きだけみてみますと離れた部分が解消したわけではないものの、多少正相関へ戻ろうとする動きがみられることは確かで、米10年債金利が上昇すればドル円も上昇しようとする動きを見せますし下落すれば一緒に下方向を目指す動きをするようになっていることも事実です。
果たしてこの1か月あまりの状況を正相関が戻ったと言えるのかどうかはかなり微妙ではありますが、ドル円が米債金利の状況を気にし始めているということだけは間違いなさそうで、果たして今週のFOMC以降米債金利が上昇したときにすんなりそれについていくことになるのか、はたまた米国の株式市場の下落のほうの影響を大きく受けることになるのかどうかが非常に気になるところです。
週明け19日NYタイムのドル円はやはり大きく下落したNYダウに合わせるように106円台から105円台へと下落をしており、米債金利の状況とも一定の連動感を伴っている状況です。これがFOMCを経てどうなるのかをまずみきわめたいところです。
森友問題は集中審議でも霧は晴れない
日経平均との連動感の強いドル円で気になるのは国内の政治情勢ですが、週明けに開催された国会の集中審議でも決して森友問題がすっきり解決の付きそうな状況とはなっておらず、相変わらず文書改ざんが忖度なのか圧力なのかが見極められない状況で役人の責任だけが強く非難される状況となってきています。
しかしこの調子ではとてもではないですが消費税の増税は覚束ない状況ですし、国民の信頼を失った安倍政権がここから元気を回復して憲法改正に突き進めるような状況でもなくなっていることは間違いなく、なにより海外の投資家がABEXITとして相場の状況を見始めていることから、そう簡単に日本の株式市場に資金が戻ってくるとは思えない状況に陥っています。
これまで文書改ざん問題が露見してもそれほど大きく株価が下げるということはありませんでしたが、失速気味なのはもはや間違いない状況であり、ここ3か月のドル円の推移からすればこの日本株の状況について下落するリスクがかなり高いことがあらためて感じられる状況です。
外国人投資家からABEXITという言葉が飛び出してからすでに1年以上の歳月が経過していますが、今回の文書改ざんからはじまる不祥事の積み上げ状態が簡単に問題解決し正常化するとはとても思えないのが正直なところで、すでにこの政権は潮目が変わるボタンをしっかり押してしまった感もあります。
為替に与える日米の材料がパラレルに進行している関係上どの材料がより大きな影響を与えることになるのか判断するのは難しくなっていますが、ひとつだけいえるのはあらゆる材料がドル円を円高に導きそうであることで、ひとつとしてドル高になる要因が存在しない点だけはあらかじめしっかり認識しておかなくてなりません。
(この記事を書いた人:今市太郎)