ドル円の上下振幅が一段と激しさを増しています。13日の東京タイムでは森友問題などの不透明感も手伝って106.200円レベルまで下げたドル円でしたが、ぎりぎりそのレベルを守り抜いてその後大きくショートカバーをはじめ、なんとロンドンタイムにはそのまま107円台までつぎつぎストップロスをつけて上昇するという久々のウルトラショートカバーを実現してしまいました。
しかし、上値をどんどん買い上げるというほどの勢いはなく、NYタイムに入って米国のCPIの発表で一時的に107.300円レベルまで跳ね上がったものの、その後じりじりと下げを加速する場面があり、ほどなくしてティラーソン国務長官をトランプが解任した報道が伝わって結局ドル円は106.800円レベルにまで下落してしまいました。
その後は高値に戻ることができないまま、終盤で対中国の課税報道が流れてNYダウが瞬間的に230ドルあまり下落したことからドル円も一緒に下落、一時106.500円を割り込むところまで下値を切り下げる展開となりました。
チャートを見るとわかりますが1日かけて行って来いをやっている相場であることがいまさらながらに理解できます。
投げと踏みの応酬相場は儲からない
ドル円は見かけ上えらく上昇したように見えますが、結局ショートカバーで踏みあげられたポジションがストップロスを次々つけて上昇したに過ぎませんから、相場を積極的に買い上げる向きがいるわけではなく投機筋が関与して相場をむりやり持ち上げた感が否めません。
またリスク報道があればあっという間に売りが加速しますから、高いところでポジションを持っていた向きは今度は相場の下落で投げざるを得なくなり、またしてもストップロスをつけてば下げるという行って来い相場を展開することとなっています。
この手の相場状況はよほど短い時間足でサクサク利益をだしていかない限り長くポジションをもっていると殆ど儲からない相場ですから、よほどやり方を考えないかぎり長く相場にとどまってはいられないものになってきていることがわかります。
107円中盤は重く106円ジャスト付近には買いも終結
昨日の上げでよくわかりましたが107円台中盤から上は相当売りが並んでおり、これまでもかなりもみ合った地点であることからここを抜けていくのは至難の技ではなさそうです。
また、下値も徐々に堅くなってきており、106円ジャストには相当な買いが並び始めているようです。これだけ上昇しても107円台でNYタイムを終了できないドル円は相変わらず下落リスクと隣り合わせで進行しており、いつ105円台方向に再下落してもおかしくないところを推移しています。
トランプ起因で毎日飛び出すネガティブサプライズにもびっくりで、さすがに落ち着いてポジションを保有しているわけにはいかない状況には辟易とさせられます。
とうとう解任のティラーソン
ティラーソン国務長官はゴールドマンサックスの一団とは別にエクソンモービルのCEOを務めた人物で、軍人や右翼的発想の強い人物の多い政権の中ではかなり実務的な人物として評価されてきました。
しかしトランプ政権ではトランプとのいさかいも絶えなかったようで公然とトランプは知能指数が低いとまで言いぬけていつ辞めるのかという話はかなり前から浮上していただけに、やはり更迭かという印象がぬぐえません。
トランプ自身は政策遂行のためなら誰を失ってもまったく気にしない状況のようですが、市場の目はかならずしもそうではありませんから、不安定な政権を株式市場が嫌気するのは当たり前で、ドル円の上昇にプラスに働く要素は何もなくなっていることがわかります。
ただ、相場自身は需給で動くところも大きく、ショートが溜まりすぎれば一定のカバーがでることもまた事実で、なかなか一方向だけに動く簡単な状況ではなくなりつつあります。今週も後半にかけてさらに注意深い売買が必要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)