先週のドル円は一旦下値から戻す展開となりましたが、戻りは不明確で週明け以降この動きがさらに加速できるのかどうかが大きなポイントになりそうです。
金曜日のドル円は106.500円を超えたことからそれまでショートにしていた売り目線の勢力がドテンして買いに転換したとの情報も出回りましたが、結果からいいますとドテンの甲斐はほとのどなく、107円は大規模なオプションが横たわっていたことから防戦に押されるかたちとなり、106.700円レベルでは逆に買戻しも入り上にも下にもほとんど動かないまま週の取引を終えています。
金曜日夜12時を過ぎてNYカットで大量終了となった107円のオプション消滅後もかなり上値には売りが並んでいるようでこれを簡単に乗り越えることはできないまま越週となっています。ここから週明け早々にさらに上値を狙えるのか押し戻されるか次第で今週の動きの方向感が見えてきそうです。
ドル円は20日移動平均線をぎりぎり乗り越えそうになりながら相場を収書うしていますが、これが騙しになるのか大きく上昇するのかをまず見定めていところです。
米国の関税問題はなんら片付いていない
米朝会談のネタにかき消される形となってしまって米国の関税問題ですが、中国もEUも怒りのレベルはかなりのもので、カナダとメキシコが含まれなかったからああよかったでは済まされない状況です。
トランプが具体的な対象国をツイッターなどであげてくることになれば、ひと騒動起きることは間違いなく、週明けもこの話題はもっとも大きなリスクになりそうです。
また需給の面からいえば本邦輸出企業からの円転レパトリ需要も多く出る時期になってきており実需ベースで意外にドル安円高が進む可能性も考えておく必要があります。
トランプのドル安シフトはもはや確実な状況
今や米国は財政支出できわめて大きな借金を背負った先進国となりそうですが、こうなると少しでも借金返済を減らすためにドル安を志向することは間違いない状況で長い目でみてドル円が円安に向かう可能性は極めて乏しくなりつつあります。
3月21日のFOMCに向けては利上げ期待からドル円が上昇する可能性は十分にありそうですが、すでに市場の利上げ確率は3月9日段階で88.8%となっており完全に利上げは見込まれた状況です。
Data CME
ここからのドル上昇にはよほどの材料が登場しないとなかなか難しそうなところに差し掛かってきてことがわかります。市場は新たな材料探しに動くことになりそうですが、総じてドル円を積極的に買う材料が見えないだけに上値を追うのもなかなか難しそうでどうしても戻り売り主体の相場になりそうな気配となってきています。
こうなると日足のチャートではなかなかエントリーしづらくなってきていますので、できるだけ短い足のチャートを使って短期間に利益を積み上げていく形で勝負するしか方法はなさそうです。
方向感がよくわからない場合には無理をせず休んで様子を見るというのも重要な選択肢です。週初の動きを見定めれば上方向なのか下に再度下落するのかも多少は判断できるようになってくるのではないでしょうか。
株式市場は日米ともに上昇して終わってはいますが、まだここからさきどうなるかはよくわからないところもあり、すでに株価上昇にはドル円は連動しなくなってきている反面、大幅な下落にはそれなりの追随した反応を示すだけにかなり注意が必要です。
為替相場は年間に日足以上で明確なトレンドがでるのはせいぜい2回程度で、あとはレンジ相場とどう付き合うのかが大きな課題になります。
それだけに臨機応変に相場の動きにしっかりついていけるような体制をとっておくことが重要です。終わったことよりこれからのことに常に注意していくという姿勢が成功を収める大前提にあることを忘れてはなりません。
(この記事を書いた人:今市太郎)