金曜日は東京市場は東証がメジャーSQということで注目されましたが、前日比で500円以上上昇したもののその後ザラ場で全値戻しを示現するなど猛烈に荒っぽい動きを見せることとなりました。
Data トムソンロイター
北朝鮮と米国が会談を行うというのが確かに支援材料になったのかもしれませんが、1日に大きく上げては同日にそのまま下げて窓埋めしてしまうような相場は誰が売買しても儲からない相場であり、やがて市場参加者が減ってしまうよろしくない相場に向けた動きとなるだけにかなり注意が必要になってきています。
同日のNYダウも一時400ドルを超える上げを記録しており、リスクオンに変化したとは言うもののこちらも相当荒っぽい動きが目立ちます。
Data トムソンロイター
本来株価はじり高が継続するのがもっとも上昇を維持しやすくするものですが、足元の相場のように日足にしてみたときに上げ下げのローソク足が長くなる傾向がでてくるのは、バブル相場の末期にみられるもので、AI実装のアルゴリズムが積極的に売買しているのかもしれませんが、人が裁量でやっても機械がコンピュータ仕掛けでやってもほとんど儲からないのが実情で、次なる展開が非常に危惧される相場になってきていることがわかります。
雇用統計を経ても107円に全く定着できなかったドル円
一方ドル円は雇用統計を受けて本当に一時的に107円台に復帰しましたが、その滞空時間はほんのわずかで、9日にかなり期限を迎えたはずの107円のオプションが消滅しても頑強な売りが上に並んでおり、簡単には上伸できないことを改めて示す結果となりました。
ドル円15分足大きく下押しもしなかったとはいうものの、これだけリスクオンの雰囲気が醸成してもまったく107円台に戻らないドル円は引き続き下方向のうごきが強くなりそうな嫌な雰囲気が漂います。
来週は米国債の償還時期にあたりレパトリで円転需要もそれなりに出てくることからさらにドル円は上値を重くする可能性がありそうです。
北朝鮮ネタは長く続かない可能性
米朝首脳会談は現実に実現しそうな気配となりましたが、5月に入ってからの話ということでこのネタが来週以降も持続するとはとても思えないものがあります。
また北朝鮮から公式文書が出ている気配は全くなく、韓国の代表団が美人局のように口づてに状況を伝えたに過ぎませんから交渉の内容もなんら保証されているわけではなく、相当心もとないのが現実です。
会談が近づけばまたこのネタで盛り上がることが予想されますが、ここから1か月以上リスクオンがひっぱれるとは到底考えられない状況です。
荒れた調整相場はごく短い時間足で勝負
ドル円は雇用統計を控えてもっと上昇することを市場参加者が期待するような動きでしたが、結局前のめりに高値で買うと相場が下がって投げさせられ、逆に売り向かうと持ち上げられてこちらも損切を余儀なくさせられるという誰がやっても儲からない相場を1日繰り返すこととなりました。
本来儲からなさそうな相場状況なら取引を一旦手控えてみるのが正しい選択なのでしょうが、どうしてもやるということなら相当短い時間足でこまめに利益をあげるぐらいしか参加のしようがない状況です。
ここのところだんだんと雇用統計後のドル円の動きが非常に限定的でわざわざこれを利用して売買する妙味がどんどん薄れていますが、今回はとくにそんな印象の強い動きになりました。
市場参加者に大きなやられがでないというのはなによりではありますが、実に売買妙味に欠ける展開で次なる相場になにが材料として持ち出されてくることになるのかが非常に気になるところです。
とくに上述のように株式相場が調整主体で様子のおかしい状況になってきていますから相場の下落時をいい押し目としてとらえるととんでもない罠にはまることも予想され、いつも以上に慎重さを求められることになりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)