26日のドル円は東京タイムではいきなり大きく売り込まれて午後4時には106.376円まで下落する場面もありましたが、下値にはそれなりの買いも入っていたようで、その後は大きくショートカバーする動きになり、NYタイムには再度107円を回復する場面も見せました。
長時間見ていますと結構動いたような錯覚にとらわれますが、結局のところ上下で80銭も動いておらず、下値も大きく伸びないものの、上値も恐ろしく重く107円台中盤にまで上昇することがまったくできなくなっていることがわかります。
パウエル新議長の議会証言が終わるまではここ2日間程度ずっとこの調子になる可能性も考えておかなくてはならなさそうです。
北朝鮮との対話報道でドルが買われる場面も
Photo AFP
=19877245平昌オリンピックはなんとか無事終了ということになりましたが、北朝鮮と米国が対話を始めるのではないかという報道がきっかけとなったのかドルはNYタイムの場中で結構積極的に買われる場面もあり、本当にここから対話が始まるのか、元に戻るのかが注目されるところです。
マイアミの高校の銃乱射事件を巡ってはトランプが先生に銃を持たせれば解決するといったトンでもない発言をして物議を醸していますが、北朝鮮とも本当に対話で解決するつもりがあるのかどうか、かなり怪しい状況です。
冬が終わればお日柄的に戦闘をしかけやすくなるわけですが、本当にこのオリンピックをきっかけにして対話路線が現実のものに向かうとなれば、なんらかの合意がとれたところでドルが大きく買い戻される可能性もあることを意識しておかなくてはなりません。
ただ、まったく逆さまの状況も十分にありうるわけで、これまでの双方の動きを見ていますと、そんなに明るい兆しが本当にあるのかどうなのかが非常に気になるところです。
株価もぱっとせず暴落リスクがあるときには逆に仕掛けるかも
足元では米国の株価も大きく戻してかなり平静を保ち始めていますが、これで株価がまたおかしくなるようなことに逆戻りするようなら中間選挙を視野に入れて国民の支持を獲得するためにトランプが北と戦争するリスクは十分に残っていそうな状況です。
不思議なもので過去にも対外的な戦争となると国民のナショナリズムが急激に高まり政権への支持率も上昇するというのが米国の定石となっていますから、トランプが苦し紛れに北朝鮮制裁を利用するということは相当な確率で残されているものといえます。
また米国からの先制攻撃となると過去にもドル高が示現することが多く、北への制裁で一時的にドル高というかなり違和感のある動きも残されている点には注意が必要です。
軍備増強で赤字拡大が懸念されていますが、これもまさかの戦争となれば言い訳のひとつになりますし、トランプ政権は気がつくと軍人出身で要職についている人間が極めて多く、ある意味でとんでもない戦争実現可能内閣である点も嫌な雰囲気が漂います。
もちろん中国とロシアという隣国が存在する中で本当に北と一戦を構えるのかどうかは判断しにくい点もありますが、中東情勢に首を突っ込むよりは大義名分がはっきりしており、国際的な支持も取り付けやすいという点では北朝鮮への軍事的なオペレーションはあり得ないとは否定できません。
米朝対話はもろ刃の剣でうまくいかなければいきなりこじれ始めるきっかけにもなりかねずここからどういう展開になるのかが注目されます。韓国の融和政策も金だけむしり取られてお仕舞いになるのか、そもそも半島の問題だけに南北で話をすることである程度の解決がはかられるのかも注目です。
ここのところの為替の見通しとしては北朝鮮イシューのリスクレベルが非常に下がっており、実際の状況がどうなっているのかがもう一つわからないため判断がつきませんが、いきなり想定外の展開にならないことを祈りたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)