ここへ来て面白い情報が市場に飛び交いはじめています。それは就任間もないパウエルFRBが株価暴落後ステルス介入を実施しているというもので、1週間で110億ドル分のMBSを買い入れたという報道が飛び交いはじめています。
形式的には債券買い入れですが、結局のところ流動性を維持するのが目的であり、金融機関はこの資金を利用してリスク商品の買い支えを行うこととなり、この影の介入の動きが株価と債券市場をとりあえず落ち着かせているというのです。
なんだ、利上げの前に早速QE4かと思われる方も多いとは思いますが、FRBのメンバーは今回の相場下落に動揺を見せないようにしていますが、実際のところは相場下落に相当神経質になり、しっかりその対応も実施していたことがわかります。
28日の議会証言にも注目が集まる状況
出だしからステルス介入で、果たして3月のFOMCで利上げなどできるのかどうかが非常に気になるところですが、まず来週28日にパウエル議長初の議会証言が待ち受けていますので、ここでどのような発言が出てくるのかが非常に注目されることになりそうです。
今回のFRBの対応でよくわかりましたが、何かあれば緩和措置で臨まないと市場は大変なことになるということをFRBメンバーはよく理解していることだけは明確になったといえそうです。
利上げを延期してもバブルを延命させてしまう
今年のFRBの利上げは実施しても見送ってもろくなことが待ち受けていない状況です。
まずいきなり3月に利上げを係継続すれば、すでに3%目前にまで上昇している10年債利回りの上昇の火に油を注ぐことは間違いありません。下手をすればパウエル議長自らいきなり初回のFOMCで相場暴落のボタンを押してしまいかねない状況です。
また利上げを見送れば、一時的に株式市場のバブル状態を延命することには繋がるものと思いますが、その後悪いインフレを示現させてしまいかねず、これまた問題を先送りする形になってしまうというわけです。
果たしてパウエル議長がどういう判断をするのかが大きなポイントになりそうですが、今回のステルス介入を見ると積極的に利上げに臨まない可能性もあり、株価が下げれば結局先送りするのではないかという見方も強まっています。
イエレン議長はなんとか就任期間中に株価の暴落による洗礼を受けずに逃げ切った形となりましたが、結局結局その分の荷物をパウエル新議長がいきなし背負いこまされただけの恰好になっているのはかなり気の毒な状況といえます。
このパウエル議長、学者ではありませんからかなり実務的に対応することも期待されていますが、間違った判断を知れば大変な事態に陥るだけに最初からその手腕がどのようなものになるのが市場が大きな関心を寄せており、内容次第では相場が大きく動くことも想定しておかなくてはなりません。
今のところ株式市場は比較的落ち着いた動きにはなっていますが、これが本物なのか一時的なものなのかはまだわからない状況で、特に日本株は投げと踏みの応酬相場が連日のように開催されており、状況次第ではまだ下値を探る動きも出てきそうで決して安心はできません。
3月は米国の金融政策が一段とクローズアップされることになることから、ドル円にも少なからず影響がでることが予想され、まだまだ相場が大きく動きそうな雰囲気になってきています。
ドル円は今回の下げから大きく戻した相場の半値戻しを実現していますが、さらに下押すのかまた戻るのはももうひとつよくわかりにくくなっています。
相場に方向感が感じられないときには一旦休憩して様子を見るなどの対応をとることも重要です。思い込みだけでポジションをつくるのだけは危険すぎますから、注意して取引してみてください。
(この記事を書いた人:今市太郎)