トランプ大統領は12日、日本を含む貿易相手国が「殺人を犯しながら逃げている」と非難し、対抗措置を取る構えをとることを示しています。
これまであまり円安の話が出てこなかったわけですが、ダボス会議でのムニューシン発言が実は本音だったことがだんだんと見え始めてくる動きになりそうで、政治通貨ドル円はここから上値を追うのが相当難しいことになりそうです。
トヨタ史上最高益の報道後やはり飛び出した日本叩き
トランプというのはどうも政府関係の資料などを精読して発言するタイプではないようで、フェイクニュースを嫌うものの一番メディアを見ているというなかなか皮肉な話が飛び交いはじめていますが、先ごろ報道されたトヨタの史上最高益2兆4000億円の話は完全に円安が招いたものだという理解が進んでいるようで、やはり日本との通商でトランプの口からいちゃもんが飛び出す形となりました。
過去にもトヨタの最高益がでた年のあとはなぜか円高になったことが非常に多かったことを思い起こさせられます。ここからは日本も準公的機関を使うにしても円高阻止に動くのが非常に難しくなるはずで市場参加者の想像以上に円高が進む可能性がでてきているといえます。
107円を割れれば100円方向に突き進むのか
ドル円はすでに13日のロンドンタイムから売り込まれLondon Fixでは107.406円と昨年9月の年間最安値に近づく動きをしています。
下方向にはそれなりに何かの買いもあるようですが、これで107円を下抜けるとなれば少なくとも105円レベルまでは簡単に下落しそうな気配で、年間10円幅というレベルを意識しますと100円下抜けも十分ありえそうな状況になってきていることがわかります。
米国の円安批判による修正レベルが一体どのあたりなのかは非常に興味深いものがありますが、少なくとも100円以下のレベルにまで調整しないことには調整したことにはならない可能性が高く、結構春先に向けて下方向を意識しておいたほうがよさそうな展開になりつつあります。
テクニカル的にドルインデックスからみますとドルはかなりいいところまでドル安が進んでいる状況で、ユーロドルなどは逆に買い場が見えてくるような状況にありますが、ドル円はこれまでもテクニカルを大きく逸脱する形で相場が下落したことがあり、レベル感だけで押し目を買うと大失敗しそうな雰囲気になりつつあります。
Data Investing.com
ここからはショートが溜まり過ぎれば何度か上方向に押し返される可能性はかなり高くなりそうですが、依然として戻り売りが機能しそうで、昨年9月の段階では準公的機関が下値を抑え、生保などの機関投資家が大量に買いをいれたことから割れなかった107円の壁も今回ばかりは簡単に割れてしまうことを意識しておいたほうがよさそうです。
突込み売りは担がれるリスクがありますのでやはり大きく戻ったところをしっかり売るという繰り返しで下がらなくなったらリカクして再度エントリーポイントを探すという繰り返しで利益を積み上げていく方法をとるのが最善の策になりそうです。
株式相場のほうは日米ともに底値をつけたという楽観的な見方も広がっていますが、とてもではないですが、足元の状況が底値だと断定できるような動きにはなっておらず、まだまだ下が登場しそうな嫌な雰囲気になってきています。
とくに日経平均のほうは昨日も後場の最終局面で大きく売られ、それに呼応するかのように投げもでていますから、これは簡単に元の相場に戻るような雰囲気にはなってきておらず、3万円は遠きにありて思うものという流れが鮮明です。
株価の下落局面では確実にドル円も売られていますので、東京タイムはとにかく株価の推移にも十分な注意が必要です。今回の暴落を契機として相場のセンチメントは大きく変わってしまったことを改めて意識せざるを得ない状況です。
(この記事を書いた人:今市太郎)