株価の激しい上下動に比べて非常に動きが乏しくなっているのがドル円ですが、いよいよ週明けになると少しは明確な方向性が示される可能性も出てきています。
週末NYタイム序盤の取引で大きく押し込まれた株価はいきなり反転上昇してプラスで引けていますので、それにあわせてドル円も108円割れギリギリまで売り込まれたものの108円台後半で引けています。週明けは一旦上値を試すことも考えられますので、慎重にポジションをとることが重要になりそうです。
相場暴落後は特別な需要がでることもある
今回の米国株の暴落では1987年のブラックマンデーがよく比較の引き合いに出されますが、1987年の場合には一旦大きく売り込まれたドル円は、その後米系金融機関の資金手当てのため外債等の資産の売却とドル転による本国送金が非常に強まったことから一時的にドル高が示現し、市場ではなぜドル円が上昇するのかわからないという不思議な状況におかれてしまったことがあるようです。
しかしそのオペレーションがひとしきり終わった段階ではあらためて激しくドル円はドル安円高に動くことになりその後かなり長い時間にわたって円高が続いたのはご存知の通りの状況です。
今回の相場暴落の場合、多くの資金自体が米国の相場に集中する中で起きていることですから、ドル円がこうした特別な事情で大きく上昇することは考えにくそうですが、相場の暴落にともなって何が起きたのかは正確にはまだわかっていないだけに想定買いの動きが示現することにも注意が必要になりそうです。
戻り売りが基本だがショートが溜まれば跳ねることにも注意
ここからの相場は戻りがでれば売りで対応したいところですが、市場があまりにも売りを意識しすぎてしまいますと結果的にショートが溜まり過ぎて結局大きなショートカバーが出ることで踏みあげられるリスクが十分に考えられますので常にプライスアクションに注意しながら、下げないと思ったら一旦手仕舞いするぐらいの臨機応変さをもって対応するべきでしょう。
現状では積極的にドル円を買い上げる材料はありませんが、準公的機関もそれなりに買いを入れることで年度末決算に向けてあまりドル円が下がらないようにしようと画策することは考えられます。
しかし110円から上方向はショートカバーがでるにしてもそう簡単にするする上昇するレベルではありませんから、丹念に売り場を探していくことになりそうです。
米株、日本株の下落はまだ収まったわけではない
今回の相場暴落は落ち着きそうにも見えますが、米国ではVIXの損失でまだまた敗戦処理の売りが登場するのではないかとの予測もあり、株価が戻すと絶好の売り場になることからまだまだ不安定な相場展開が続きそうな状況です。
しかも日本株もそれに連動して下落することが見込まれますので、ドル円は日本株の下落には素直に円高方向についていくことが考えられ、まだまだ相場の上下は起きそうです。
一般的に下げ三波などと言われますが、最悪五波ぐらいまで継続した揺れ戻しがあることは覚悟が必要で、その後も簡単に過去の高値を抜いていくような動きにはならないものと考えられます。
ここからは新しい材料がでてこない限り戻り売りで下方向への動きに備えたいところです。月曜日は日本は国民の休日ということもあり、本邦勢不在の中で不可解な仕掛け売買がでることも考えられますので、とにかく気を抜かずに十分に注意しながらトレードを行っていくことが大切です。
今回の暴落では相当多くの市場参加者が出ていますので、なんとか取り返そうとする動きと投げが交錯しあう複雑な相場が示現することもありそうです。あくまでプライスアクションをよく見ながら適切な方向に売買を進めていきたいものです。
(この記事を書いた人:今市太郎)