読み込み中...今回米国の株式相場の大幅下落には様々な理由分析が始まっていますが、自動売買が引き起こすシステミックリスクの問題はたしかにあるものの、その根本にあるのは市場参加者の異常な購入意欲と一斉の投げいうものが強く影響を与えていることがわかります。
特に今回興味深いのは株価が大きく値を下げる10日ほど前から、まるで相場の暴落を予期するかのように先行して大崩れとなったビットコインをはじめとする仮想通貨の存在があります。
上昇に乗り遅れまいとする個人投資家が招く異常な暴騰相場
昨年からビットコインをはじめとする仮想通貨の動きを常にウォッチし続けていますが、ひとつ典型的な状況と思えるのは、レガシーな金融市場とはなんの連係もなく上昇を繰り返すものの、特定国で規制の動きがでたりしますと驚くほど売りが嵩むという情緒的な動きを繰り返すことです。
とくに昨年末からの異常とも思える値上がりはほぼどの仮想通貨にもみられた状況であり、仮想通貨間の違いというものもほとんど感じられなかったものがあります。
それこそ違いがあるとすればもともとの価格の問題で投資資金が大きくなるビットコインに手を出せない向きが安い価格のものに群がった感は否めません。
価格の上昇はあくまで需給における需要の急拡大だけがその主たる原因で、特別ファンダメンタルズが大きく影響した気配が一切見られないのも仮想通貨ならではの状況といえます。
今話題のコインチェックがTVスポットを打ち始めたころから異常に市場参加者が増えた形となったのもまた特徴的で、とにかく多くの個人投資家がわけもわからないままに乗り遅れないように我先にという形で市場に参入していったことがよくわかります。
CHART みんなの仮想通貨
下落への動きはきわめて情緒的
ただ、この仮想通貨というのはどこかの政府が規制に乗り出したとか米国が特別な規制に乗り出すのではといった報道のヘッドラインに異常なほど敏感に反応し、ネガティブなネタが登場するたびに相場は売りが殺到し大きく値を下げては底値で誰かがまた拾って買い上げて戻すという非常に神経質な展開をつづけてきました。
そこにコインキャッシュの盗難事件が持ち上がったことから相場はパニック売りになり、価格はどの通貨ペアも大暴落の状況となったわけです。
おそらく昔からタダ同然のような価格で取得した大量保有者はほとんどこの騒ぎには参加していないと思われますが、比較的高値で購入してしまった向きはこうした流動性パニック相場ではとにかく我さきに売らなくてはならないと相場に押し寄せ、その動きがさらに相場を下げさせてしまったことはほぼ間違いないものと思われます。
米国の相場暴落も似たような構造に起因
米国の株式市場は機関投資家やファンド勢も、もちろんマジョリティとして参入はしていますが、現状の高値を買い上げているのはそうしたプロの集団よりも中規模以下の売買を行う個人投資家に近い向きが多いようです。
こうした連中が相場の最終段階にも関わらず、なんとか乗り遅れないようになんの脈絡もないままに買い上げてしまったそのピークの段階で今回のような大きな下落が始まっているわけです。
もちろん最初はアルゴリズムが高速で売りをこなして相場の下落を先導していったのでしょうが、そのあとに延々と上昇狙いの個人投資家の投げがでてしまい、相場の下落をより大きくしてしまったことはどうやら間違いない状況のようです。
このどちらの状況もやはりバブル相場の最後の段階で実によくみかける光景であり、この二つの市場に関連性があるかどうかはわかりませんが、この相場の下落はやはり単なる調整ではなく中央銀行バブルの最終段階を示唆しているものといえるのではないでしょうか。
ここから果たして相場がどう回復していくのかがある意味で見ものになりそうですが、完全にもとに戻ることを期待するのはもはやかなり難しそうで、新たな展開を模索する時期にさしかかりつつあることを強く感じさせられます。
（この記事を書いた人：今市太郎）
