30日のNYタイムでは、ダボス会議で余分な発言をした米国財務長官のムニューシンが自ら上院議会証言で修正発言を行い、「長期的な国益に叶うドル高を断然支持する」「介入のない自由な為替市場を強く支持する」と歴代の財務長官の言い回しを再度なぞる形で強いドルを目指していることを再確認したことからドル円の下落がいったんとまる状況となっています。
また同長官が現在の低い金利を維持できれば、3%成長を達成できると発言したこともドル円の買戻しにつながっているようで、逆相関状態にあるユーロドルは下落に転じています。
米10年債利回りは2.7%超で上昇過程に
Data Bloomberg
ところで米国の10年債利回りは2016年の高値を明確に超えて2.7%台に突入しています。
これまで債券金利上昇をお構いなく上げてきた米国NYダウもさすがに金利を気にし始めているようで一旦下落が始まっています。これまでの米国経済における金利上昇局面では確実に企業利益が減少することがわかっているだけに株価はお構いなしだったかもしれませんが、ここからの企業業績は確実に金利上昇の影響を受けることになりますから、無関係ではいられない状況です。
これが3%を明確に超えてくるようになれば、経済成長にも大きな影響を及ぼすだけに31日(日本時間2月1日午前4時)に発表となるイエレン体制最後のFOMCの結果で、今後の利上げスピードが速まるようなタカ派的な内容が織り込まれると株式相場は一層嫌気する可能性が出てきそうです。
イールドカーブのフラット化はさらに進む米債
退任するイエレン議長が低金利におけるイールドカーブのフラット化などとるに足らないとばっさり切り捨てた発言をしていますが、そのイールドカーブはいよいよフラット化が進んでいるようで10年債も上昇していますが、2年債の金利も同時に上昇していることからそのスプレッド差はまた縮小傾向に向かっています。
Data Ychart
このフラット化が本当にとるに足らないことなのか実は市場に大きな影響を与えるものなのかはここからの相場を見ていればその答えがわかるものと思われますが、少なくともパウエル率いる新体制のFRBが積極的に利上げに向かわない姿勢だけは必要になりそうで、気がつくとやはり金利が大きなポイントになっていることがわかります。
金利上昇についていかないドル円は株の下落の影響受けるか
東京タイム一瞬109円台にまで噴き上げる動きをしたドル円ですが、市場では米債金利の上昇に起因するものという報道が出たものの、そこからはまた108円台に押し下げられてしまい、米債金利の上昇にはまったく連想する気配すら感じられない状況です。
本来ならば米10年債が2.7%を超えるなら120円方向に上昇してもおかしくはないのですが、もはやそうした状況を期待できるような気配は全くありません。
むしろここからNYダウをはじめとして株価が下落しはじめたときにドル円がついて下落するのかどうかに注目が集まりそうです。
トランプの一般教書演説は日本時間の午前11時からですが、今回はじめての一般教書演説とはなるものの、また大風呂敷を広げることは間違いなさそうで、これを受けてドル円がどの位上昇するのかも興味のあるところです。
1月のドル円相場は想像以上に波乱の多い動きとなりましたが、ここから2月の動きがどうなるのかを占ううえで今週の相場の動向は大きなヒントになりそうです。
とりあえず動きが明確化するまで様子を見るのもひとつの手となりそうですが、短い時間足で少しずつ利益を伸ばしていくと、それほど大きなリスクには直面しなさそうですので、地道にトレードしていくことが意外な利益獲得策になりそうです。
もちろん仮想通貨などと比較すると一攫千金とは程遠いものがありますが、それだけ危なげのない投資なのだということを改めて認識させられます。
(この記事を書いた人:今市太郎)