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週末でもありますので、閑話休題ではないですが、FXの親戚筋の仮想通貨が絡むICO投資について考えてみたいと思います。
最近仮想通貨の市場に参入しようとする個人投資家の方からよく質問を受けるのがICOです。確かにビットコインの暴騰を見るとスタートアップ時点から安く購入すれば先行き億り人になれると夢が膨らむのもよく理解できるところです。
足元では有名芸能人やらスポーツ選手やら仮想通貨のかの字も関係がないような輩が参入を表明し、なんとも妙な雰囲気を醸し出しているICO案件ですが、こうしたものに対する投資を行う場合には、かなりよく考えておかなくてはならないことがあります。今回はそこにフォーカスしてみることにします。
仮想通貨で払い込みをするIPOがICOではない
まず多くの人が誤解しているように思われるのがICOの定義です。これまで証券取引所を通じて株を発行して資金を集めていたIPOの資金調達の部分を仮想通貨にしたものがICOだと理解してしまうととんでもないことに巻き込まれてしまう可能性があるのです。
Initial Coin Offeringなどという名称がそもそも誤解を招きやすい感じですが、ICOの場合ホワイトペーパーと呼ばれる事業計画書は開示されますが、集めた資金が事業者の資本金に充当されるとは限りません。
また、ICOで得られたトークンはデジタルアセッツを販売したときの電子的な証書ではあるものの、それが仮想通貨として機能するかどうかは個別ICO案件次第の状況であることは十分に認識する必要があります。またICOは必ず上場するものではないこともしっかり理解しておく必要があります。
ICOの形態は実に様々
足元の状況だけでもICOにはいくつもの形態が存在します。ビットコインのような普及仮想通貨を使って払い込みを行うものでその後は登録仮想通貨交換所で売却可能なものもありますし、事業者の提供するサービス内だけで支払い手段として流通するものもあるのです。
この場合前者と違って国内では仮想通貨法にともなう仮想通貨交換業の免許を取得する必要はなくなる点が注目されます。GACKT通貨などと呼ばれる仮想通貨のICOはどうやらこの方法のようで法令違反などという噂が飛び交いましたが、実は問題ないというケースもあるのです。
また事業サービス内で利用できるトークンもしくはプライベートな仮想通貨を提供し消費することで購入分を消化するものも登場しています。しかしこれは若干のインセンティブのついたプリペイドカードと同じ扱いであり、我々が期待する仮想通貨の形態とはかなり異なるものといえます。
さらに払い込みはしても何も得られないいわゆる寄付型もICOと呼ばれているわけですから、話は複雑です。また利益分配型という形でクラウドファンディングに似たい形態をとっているケースもあります。
要約しますと、IPOの場合国内で上場するのに投資資金を払い込んで入手できる有価証券の機能はほぼ一定に保たれており、経営に口を出す権利も確保されていますし、取引所を使って譲渡も可能ですから、儲かるかどうかはわかりませんが一定の損をしてもなんとか手放すことで換金できる仕組みは担保されていることになります。
しかしICOは単にデジタルアセッツを購入しているだけですから、個別の取引条件ごとにその後どのようなインセンティブが働くかはとどのつまり案件次第ということになってしますのです。
電子的に配布される売買の証明書となるトークンを仮想通貨を呼べばたしかに仮想通貨ではありますが、ものによっては子供がままごとに使うこども銀行の偽紙幣と同じぐらい価値のないものになるリスクも伴っており、ICOだから皆仮想通貨の仲間と妄信するのはかなり危険です。
今のところローカルカレンシーとの交換が即時にできる仕組みをもっていないことには貨幣価値は維持できないのが現状ですから、このあたりもよほど注意して投資する必要があります。
仮想通貨というとブームだからとにかく乗ってみようという方も多いと思いますが、FXの投資資金を引き抜いてこうしたICOに投入してみてもFXよりはるかにリスクの高い投機的なものになりかねないことは相当認識して対応する必要がありそうです。
またICOの手前の部分での詐欺も多い状況ですから、とにかく注意してもしすぎということはないのが現状です。
（この記事を書いた人：今市太郎）
