ビットコインをはじめとする仮想通貨FXの取引では、ポジションを保有していたかなりの個人投資家が大きな損失を被ってしまったようで、しかもまともに売りの約定もしなかったことから涙ながらに強制ロスカットを待つだけというかなり厳しい状況に追いやられた方も多かったようです。
しかし、今回の大幅下落の構造というのは実は株をはじめ為替など一連の既存金融市場にもつながる教訓をもたらしていると言えそうです。今回はそんな大幅下落の構造というものについてご紹介してみたいと思います。
素人の大量参入・同一方向ポジ保有はかなり危険
今回の仮想通貨暴落騒動は本当にこれで一息ついたのかどうかまだよくわかりませんが、非常に興味深い状況だったのが出来高がかなり限られているのにも関わらず大幅下落を示現してしまったことです。
おそらく大口保有者は特別なにもしないで傍観している中であっという間に売りが嵩んで市場が下落してしまったのだろうと思いますが、ここでネガティブな意味で重要な役割を果たしてしまったのが本邦をはじめとするこの手の取引に詳しくない素人個人投資家の存在であったのではないかと思われます。
ビットコインはとにかく儲かるという話をききつけて、単純に現物で買った人は目減りしてお仕舞いですんでいるのでしょうが、レバレッジをかけられるビットコインFXなどの仮想通貨FXで買いを入れ、しかも本邦個人投資家お得意のストップロスを全く入れない売買方法で参入した新参者のトレーダーは二つの行動にでたものと思われます。
ひとつは下落がはじまったところで売りに殺到することとなり、下落に一層拍車がかかってしまったとうことです。これは流動性のないハイイールドボンド市場などでプロが売買していても同様のことが起きるわけで、市場のほとんどが買いだけで運用されているような商品の場合、ひとたび売りが殺到するとまるでイベント会場でよく起きるような出口に人が殺到して将棋倒しになるような事態に陥ることになるのです。
しかも取引所の売買は約定したかどうかもよくわからない状態ですから、新規に参加した素人の投資家が一斉に売りを出せば嫌でも相場は大きくオーバーシュート気味に下げを示現することになります。
また下げを押し目とみて参入したトレーダーも買い向かっても大して相場が元に戻らずにまた下げ始めると仕方なくリカク売りをすることになりますから、これがまた相場を押し下げる動きにつながってのだろうと思われます。
さらに二つ目としては殆どの個人投資家がストップロスをおかずにいわば強制ロスカット待ちのような取引をしたことから一定のレベルで強制ロスカットがではじめるといきなり相場がさらに下落方向に走る動きとなったことは容易に予想される状況です。
この手の暴落の構造は株式市場などでも十分起こりうる
実はこうした素人が大挙して市場に参入してそれがきっかけて相場が必要以上に大きく崩れるという状況はこれまでもバブル相場の最末期によく見られた事態でした。
暴落というと明確な理由が存在して相場が崩れていくように思われがちですが、最初の一押しとなるなにかの理由からいきなり市場参加者が買いから売り方向に集中して、それがまた売りを呼び相場を徹底的に崩してしまうということは十分にありうる事態といえるのです。
今回のビットコインをはじめとする相場の一覧の下落の動きはどうもそんな風に見えて仕方ない状況です。一番の底値までつくと資金をしっかりもった投資家が買いから入って足元ではビットコインも多少上昇する動きとなっているようですが、この手の動きはやがて株式市場にも登場することが予想されます。
とくに米国の株式市場はファンド勢からはじまって個人投資家に近い中小の投資家もポジションをパンパンにもっていると言われていますから、この仮想塚暴落型相場をNYダウで再現してしまうリスクもかなり高いと言えます。
当然株価の大崩れは為替にも多大な影響がでますので、ビットコインのように単独市場だけ崩壊するといった状況では済まなくなります。そういう意味でもこのビットコイン市場の動きは我々個人投資家にかなりいい教訓を残してくれることになりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)