年明け米国の株式市場はますます上昇を進める気配となっており、債券金利の上昇など誰も気にしない相場状況が継続中です。
株価の状況とは裏腹に米国の債券金利の長短スプレッドはいよいよ50ベーシスポイントの差しかなくなってきており、これは完全に2008年のリーマンショック前を上回るスプレッド差となっています。
たしかに高い金利の状況下で起きているスプレッド差の縮小ですから、たいした問題ではないと言われてしまえばそれまでなのですが、このスプレッド差が縮小した2008年段階でも8%のような高金利で起きていることではないから問題ないと言っていた途端に株式相場は暴落に巻き込まれることとなっており、ほんとうに何の影響も及ぼさないのかどうかは正直なところよくわからない状況になってきています。
2月に退任を決め込んでいるFRBのイエレン議長は取るに足りないことであると言い切っていますが、果たしてこうした状況が何も相場に影響を与えないのかどうかが大変気になる状況です。
逆イールドまで0.5%
長短スプレッド差が50ベーシスポイントというとまだまだ差がありそうに聞こえますが、たった0.5%ですから、短期金利が長期金利よりも上昇することになれば逆イールドがごく近い将来に示現してもなんらおかしくはない状況で、果たして株式相場は何も意識せずに今のバブル相場をそのまま続けてうことになるのかどうかが大きなポイントになりそうです。
2000年のITバブルの末期にはこのイールドカーブが逆転してその後もとに戻る過程で相場は大きな暴落に見舞われていますから、逆イールド即暴落というわけにはいかなそうですが、この調子でFRBが3月にでも利上げをするような形になれば春が来る前に逆イールドになることも考えられ、ここからの相場展開については相当注意深く見守る必要がありそうです。
Data FT
足元の為替相場はドル安で円安
いまのところ年明け日米の株価が上昇を継続してもドル円はなんら追随する様子はなく、ドル安でかつ円安の状況が継続中です。
つまりドル円などを取引するよりもクロス円で円安になる通貨ペアを取引したほうがより効果的な売買ができそうな状況です。
米系ファンドは今年トランプが中間選挙をにらみまたさまざまな政策を打ちだしてくることから暴落は来年以降までないとみているようで、とにかく押し目は買い向かうという超強気な発想を持続しているようです。
米国の株式市場は高値をさらにじり高にして動いていることからもっと効率のいい日本株にも資金が流れ込んできていることは間違いないようで、強気相場はさらに継続しそうですが、一番気になるのは多くの市場関係者がこうした楽観的なムードを共有していることで、誰しもが強気になると確かに相場は異常とも思えるほど走ることになりますが、どこでその楽観的視点を終了されるかがわからなくなって、相場の下落段階でもかなり強気に買いを入れてくることから実は押し目ではなく下落局面だったことを認識できずに、それまでに大きく儲けた分をすべて吐き出してお仕舞いになるケースが非常に多くなります。
とくにこの傾向は個人投資家に顕著で、怖さを知らない個人投資家はバブル末期に大儲けできる可能性が高まりますが、逆に逃げ場を失って大損して終わることが非常に多くなります。
足元では株にくらべて為替は動かない状況が続いていますが、相場の下落にだけは確実に連動してついていくことになりますから、とにかく相場の下落に巻き込まれない短時間の取引手法などを考えておく必要が出てきているように思われます。
今のところこの米債イールドカーブのフラット化がなんの影響もなく終わるのか、これから問題がはじまるのかはまったくよくわかりませんが、少なくとも2000年、2008年の暴落時には機能していただけに、今後もその様子を見守ることは重要になると思われます。
(この記事を書いた人:今市太郎)