国内のメディア報道では、昨年末段階においてすでにビットコイン市場に参入している本邦個人投資家の数が100万人を超えているという情報が流れ始めています。
これは500万口座を超えている国内FX市場の参加者に比べるとまだまだ少ないようにも見えますが、実は国内FX市場もリアルユーザーは開設口座数の2割程度といわれていますから、完全にオーバーラップすることはないにしてもかなりのFX個人投資家が、ハイボラティリティの魅力に駆られてFX市場からビットコイン市場になだれ込んでいる可能性が出てき始めています。
しかし気になるのがボラティリティが高いが故に大きく資金を失う可能性で、今後ビットコインが暴落するようなことになると国内の個人投資家のFX取引、とくにドル円の取引のボリュームに影響がでることも考えておく必要がではじめています。
大勢に影響はないが東京タイムのドル円市場には影響か?
FX市場は実需のプレーヤーも入り込んできますからビットコインのような過少な市場に比べればはるかに取引量も大きく、本邦の個人投資家が存在しようが不在だろうがほとんど関係はありません。
しかしことドル円だけ取り出してみたときにはこれまで上限にくると逆張りし、下限に近付くと下値を買うという独特の動きをしてきた本邦の個人投資家の存在が姿を消す可能性があり、少なくとドル円売買ボリュームに影響を与えるようなことがでれば、今後のドル円動きにも変化が出る可能性がありそうです。
また日本人の個人投資家しか買わなかったようなクロス円の通貨ペアの動きにも影響がでないか注視する必要がでてきそうです。
ビットコインFXはレバレッジをかけてやる投資ではない
確かに動かないドル円でしょぼしょぼポジションを持っていてもちっとも儲からないため、大きく動くビットコインFXに多くの個人投資家の気持ちが移ってきていることは致し方ない部分もあります。
しかし、足元の乱高下状態ではとてもではありませんが、レバレッジをかけて売買するような投資商品ではなく、FXの延長線上っでえ25倍などのレバレッジをかければ早速証拠金のほとんどを1日、早ければほんの数時間で失うことになりかねない状況で、FXでも儲からなかった個人投資家がビットコイン周りで致命的な打撃を受けるリスクも高まりつつあります。
実際国内の株式市場からもそれなりの資金がビットコインにシフトしているのではないかといわれ始めていますから、この動きから投資資金が大幅に失われるようなことになると残された相場にも暗雲が立ち込めることになりそうです。
株価は+サムのゲームですから、負けを生み出さない可能性もありますが、FXに関しては誰かが負けないことには価値がないのが実情でドル円市場で本邦個人投資家の数が減るようなことになると局部的とはいえ、相場の雰囲気が変わることも考えておかなくてはならなくなりそうです。
バブル相場の末期というのは怖いもの知らずで買い向かう個人投資家が毎回もっとも儲かる存在となりますが、こうしたバブル相場というのは非常に抜けるのが難しく、最後まで強気に勝負すると押し目のはずがすっかり下抜ける相場に巻き込まれて利益以上に損を出してお仕舞いになるというのがお決まりのパターンです。
FX市場から乗り換えた個人投資家が気をよくして史上最大の強気相場に臨んだ時が相場は非常に危ない段階に入りそうです。
一見、何の関係もなさそうにみえるFXとビットコイン相場ですが、市場参加者がオーバーラップしている以上関係ないとは言えない状況がだんだんと差し迫ってきていることがわかります。2018年については、FXトレーダーも十分に注意しながら相場を見守る必要がありそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)