2017年は日米ともに景気が拡大したとされていますが、実際の庶民の生活は米国のみならず日本でもほとんど豊かになった実感が得られないままに大みそかになろうとしています。
経済指標上の数字が伸びているのに国民が豊かさに向けた改善を実感できなというの一体どうしてなのかという基本的な疑問が湧くことになるわけですが、その一つとしてあげられるのが富の分配の問題です。
日米ともに大方の給与所得者の収入は増えていない
米国では2018年の減税に向けて期待の高まる層も出現しそうですが、これだけ景気がよく完全雇用が回復した米国であっても賃金の伸びはごくわずかで、しかも人手不足で賃金が多少なりとも上昇しているのはサービス産業のパートタイムワーカーの一部で、ほとんどの労働者は賃上げと関係のないところに存在してしまっています。
この好景気の中で米国では資産価格は上昇し、株価も商業用不動産の価値も大きく高まりましたが、リーマンショック以降の持ち家比率は低く、多くの給与所得者は株式の保有率も以前にくらべてかなり低くなっていることから資産価格の上昇というものを自らの豊かさとしてまったく実感できないままの状態になっていることがわかります。
相変わらず米国は借金経済で、クルマもサブプライムローンのようなものが設定されているから積極的に購入する層がいただけで貯蓄率が上がったわけでもなく、これが最良の経済状態の国民生活なのかという状況が続いています。
なによりそんなに景気がよくて生活が楽ならトランプのような人物が大統領には選ばれないわけですから、数字上で見る米国経済と実態経済にはかなりの乖離があることは間違いありません。
実はそうした状況は日本も同じで、企業業績は改善し景気は長期の拡大傾向にあるとはいいながら、実際にはほとんどの給与所得者の給料は上昇することなく、むしろ税金その他の値上げのほうがはるかに給与の上昇よりも高くなっているのが実情で、ここ3か月急激に上昇した株価もほとんどの給与所得者への分配率は低いままで、こちらもまったく好景気の印象は庶民には伝わっていないことがわかります。
特定の持てるものだけに利益が集中する世の中
これは世界的に言えることのようですが、全体に1%足らずの金持ちにさらに利益が集中し残りの99%にはなにも回ってこない経済というものが本格的に構築されてしまった感があります。
ビットコインのようなものに庶民が押し寄せてバブルが展開するのもある意味ではこうした社会のひずみがもたらしているものとも言えそうですが、このある意味でかなり歪んだ状況がいつまでも続くことになるのか、特に全資産全方位のバブル状況に明確な調整が入ることになるのかどうかが2018年にとってはかなり大きなポイントになりそうです。
ファーストアウトを決め込んだ連中は株の世界からも資金を抜いて様子を見始めていますし、多くの長い投資経験をもった投資家は市場から資金を引き揚げて暴落を待っている状況ともいえます。
しかし実際の市場というのはバブル末期がもっとも相場の走る時期にあたるため、どこで反転して様子がおかしくなるかはわからず、迂闊に売りでポジションを持ち続けるわけにはいかないというなかなか苦しい状況にあります。
渦中に巻き込まれていると相場がおかしいことも正確には気づくことができなくなりがちですが、2018年については例年よりもさらに厳しく市場を観察して、変化の兆候をいち早くつかむことに専念することが相場で生き残るための重要なポイントになりそうです。
そのためには誰がこういったというような人の見通しよりも自分で判断できる見通しを重視することが大切です。請け売りだけでは結局儲けることができないのが相場の現実で、FXについても常に状況の変化が訪れることを意識してトレードすることが必要です。
今日の延長線上に明日はない可能性がかなり高くなるのが2018年です。
(この記事を書いた人:今市太郎)