2017年広義の金融市場でもっとも目立つ存在となったのは、FXでも株式でも債券でもなく、まさにビットコインということになりました。
今年11月まで100万円がぐらいまであっというまに上昇したビットコインは、その時点でバブルという印象が非常に強まりましたが、その先も猛烈で結局12月に入ってからはまさにうなぎのぼりのような状況でいとも簡単に200万円を突破することとなりました。
巷ではFXもやったことがないまったくの素人が、ビットコインを手に入れるにはどうしたらいいかを口にするようになっており、さながら80年代後半のバブル期の株式相場を彷彿とさせるような大変な騒ぎになってきています。
Data BigFlyer
しかし、相変わらずなんだかよくわからないところも非常に多く、取引所とされるところが出してくる価格はまちまち、しかも下落が始まって売ろうとしても取引所によってはまったくアクセスできない、売りを出しても約定したかどうかがわからない、仕舞いには売り規制を出すような業者も登場しており、その相場としての混乱ぶりは一応公設の市場になっている株や為替とは大違いのとんでもない世界に入り込みつつあります。
多くの市場参加者は何が違いなのかもよくわからないままに、ビットコイン以上に値上がりするほかの仮想通貨に食指を伸ばしてきており、日本列島改造論がでて国内の土地という土地が値上がりした、70年代やバブル末期の地上げ屋が暗躍する土地の爆謄状態を思わせるような猛烈な動きになりつつあります。
FXではどうも商売にはならなさそうだという嗅覚をもった多くの店頭FX業者が、この無防備な仮想通貨取引所ビジネスに参入しつつあり、日本がまたこの領域の巨大市場になりそうな状況です。
果たしてこの仮想通貨来年はどういうことになるのでしょうか?今回もまた当たるか当たらないかはよくわからない私的2018年予想として仮想通貨回りのことを書いておきたいと思います。
ボラティリティ高すぎ相場は大損の元
まずビットコインをはじめとする仮想通貨は基本的に決済機能を持っているにも関わらず、市場でまったく決済通貨としては働いていないという大きな問題があります。
つまり実需がほとんど存在しない市場であることと、先物の市場はローンチしたものの、相変わらず市場参加者は限られており、なにやらよからぬマジョリティが登場しては値を上げたり下げたりして利益を獲得している可能性がきわめて高い点がなんとも不安です。
ビットコインでもほぼ流通通貨の4割を1000人ほどのマジョリティが押さえているといいますから、こうした仕手戦まがいの動きで利益を分け合うのはいとも簡単であり、しかも現行法制下ではそれを必ずしも違法とはいえないというわけですから話は複雑です。
比較的公的な流動性の高いビットコインでもこの調子ですから、ほかのICO絡みなどで雨後の筍のようにでてきている仮想通貨は、さらに寡占的保有率が高く、酷い通貨では90%以上が特定集団によって保有されているといいます。
ETFの市場ができればもう少し公的市場での売り買いが安定的に登場するでしょうから、相場の雰囲気も変わると思われますが、足元の超ボラティリティ相場は少なくとも金融市場では過去20年ぐらいの中でまったく見たこともないものであり、たまたま運よく利益が取れる以外には儲かる可能性はきわめて不透明感が漂います。
また市場参加者のほとんどが投機狙いで参加していますから、だれかが大口を売りさばくといきなり価格が下がり始め、パニックで売りが進むと想像以上に相場が下落するという典型的な流動性パニック相場が示現するのは時間の問題と思われます。
ミスター・ミセスワタナベ主導で相場暴落か
嫌なのは多くの店頭FX業者がこの領域に乗り出してきており、FX同様仮想通貨マーケットも以上に日本だけが巨大化してしまうことです。
参加者が増えれば取引所ごとに売買価格が異なるといった体たらくな状況は修正されていくことが期待されますが、市場参加者がいくら増えても決済通貨としての仮想通貨の役割が高まることはそう簡単には想定できないのが現実で、このまま国内で個人投資家が多く参加するとどこかの時点で想像を超える売りがでてきたときにさらなるパニックが起きて大暴落につながることが容易に予想されます。
それを国内のいわゆるミスター・ミセスワタナベが引き金を引いてしまうのではないかと非常に危惧される状況です。そんなはずはないと思われる方も多いと思いますが、2008年のリーマンショック時には国内のFX投資家のやられは莫大なものになっていますから、仮想通貨でも十分にその可能性があるといえます。
個人的な印象からいいますと米国などでビットコインETFが登場する前にひと騒動ありそうな気配で、実際足元ではさしたる理由もないまま多くの仮想通貨が大幅に値を下げている状況を見るにつけ、こうした来年の本格暴落が妄想的に意識されるところです。
果たしてそういう状況になるかどうかですが、米国の株式相場が暴落する前に起こりそうなのがこの仮想通貨パニック相場です。
(この記事を書いた人:今市太郎)