数年前にM2Jが特許訴訟で外為オンラインのサイクル注文を提訴していたのが知っていましたが、今回やっとその結論が裁判所から出ることになりました。
結果は「M2Jの勝訴」ということでトラリピに使われている特許の侵害が認められたことから、外為オンラインが提供するサイクル注文の利用停止(差し止め)が命じられることとなったわけです。
外為オンラインでは特別なコメントを出していませんが、どうもこのリピートイフダン機能を使った仕組み売買を提供する会社はみな自粛せざるを得ない状況に陥りそうで、店頭FX業者には結構な影響が出そうです。
実は第一審の東京地裁では敗訴していたM2J
この事実だけ見ますとM2J完全勝利のように見えますが実は今年2月10日一審となる東京地裁ではM2Jが敗訴し、控訴をした結果が今回の差しとめとなっているのです。
ただしiサイクル注文の差し止めは認められておらず、この特許訴訟はなかなか微妙なものになっていることがわかります。
iサイクル注文は一定間隔の値幅で売買を繰り返すもので取引レンジはシステムが自動で計算するところがM2Jとは異なる部分となっています。
注文は基本的にIFDONE+OCO注文ですが、相場の上昇下落の変動に合わせて、自動追従し注文を繰り返すのが特徴で、この自動追従はループイフダンのようにレンジ上限を抜けた時に逆指値で買う形となっています。
逆にレンジ下限を抜けた時に損切りして新規に買いを入れる形となります。M2Jとしてはこちらも差し止めたかったのでしょうが、どうもそれは認められなかったようで、かなり細かい特許部分で侵害があったかどうかを争っていることが理解できます。
外為オンラインはすでにサイクル2注文をローンチ
どうも外為オンライン自体は敗訴を予期していたのかさっそくサイクル注文ではなくサイクル2注文なるものを登場させてきています。
基本的に利用者価値はこれまでのサイクル注文となんら変わりませんが、指値注文によるトリガー型の約定処理をやめて、アルゴリズムによりダイナミクスに約定処理させていくとしており、新規注文が指値ではなく、指定レートになったのを確認して成行で発注することでM2Jの保有する特許をかわしているようです。
特許紛争というのは本質とは異なる部分の特許権の侵害を争うことが多いので、こういう話にはなりがちですが、果たして他社はどのぐらいこの侵害に絡む仕組みを抱えているのかが気になるところです。
M2Jはトラリピに特化した会社
M2Jという会社はこのトラリピを使った売買に特化したFX業者といっても過言ではなく、口座開設者の7割以上がこの仕組みで売買しているといいますから、まさにトラリピ専業といっても過言ではない状況のようです。
ただ、レバレッジ規制などが本格的実施になればこうした仕組み売買を中心とする会社は、かなり取引が減少することが予想され、今後のビジネスがどうなっていくのかも非常に気になります。
なによりこのM2Jという会社マネジメントバイアウトで上場廃止してしまった経緯があり、FX業界ではなかなか変わった存在ともいえます。
AIの実装がさらに進もうとする中で、こうした技術論争はさらに高度なレベルに向かっていくことも考えられますが、よくよく考えますとリピートイフダンというのはシストレとは大きく異なるかなりむかしながらのメカニカルな仕組みであり、アルゴリズムを多用したより高度で洗練されたロボット型の売買が登場する可能性もあることから、この論争でもめるのはいずれにしてもあと残りわずかな時間になってくるのではないでしょうか。
衰退が予想される国内のFX業界にとっては必ずしもプラスには働かない話に思えますが、みなさんはどうお感じになっているでしょうか。
(この記事を書いた人:今市太郎)