注目の12月「FOMC」は予想通りの0.25%利上げとなり、FX市場は債券市場の金利の下落に呼応するようにドル円が売られる展開となっています。
「FOMC」のドットチャートでは来年の利上げ回数も3回が維持されていますが、かなりの数の委員が入れ替えになるということを考えると、来年あらたな「FOMC」メンバー編成になってみないとどうなるかはわからないのが実情で、来年以降の経済状況次第で政策は変更になりそうで、引き続き注視が必要となります。
「イエレン議長」は過去の「FRB議長」の中ではほぼ唯一相場の暴落という洗礼を受けずに退任していくレアな存在になりそうですが、パウエル体制でいきなり相場の急変ということもありそうで、来年の「FRB」のかじ取りはさらに難しくなることが容易に予想されます。
Sell the Factとばかり簡単に売り込まれたドル円
ドル円は早朝5時にの段階では米10年債金利の下落に合わせて大きく売り込まれ112.500円レベルにまで下落しています。「Sell the fact」とはいうものの、このタイミングを待ち構えていたかのような売りがでているのが印象的です。
投機筋が待ち構えて売りを出しているのかどうかはわかりませんが、やはり可能性があるとすればロングの解消売りがかさんでいるのがもっとも大きそうで、ドル円はここからはなかなか上昇しなさそうな雰囲気になりつつあります。
本来は利上げ3回が維持されていることから期待でドル円も買われる可能性を指摘する向きがありましたが、どうも相場はそうした方向には向かっていないようで、ここからの債券金利の動きが果たしてどうなるのか?さらにイールドカーブのフラット化が進むのかといった点に市場の関心が集まることになりそうです。
Data Investing.com
クリスマスまでの相場はこれにて終了か
事実上年内、クリスマスまでの相場はこれで終了の気配濃厚で、来週はさらに相場が動かなくなることが予想されます。
ただ、冷静に考えますと、いくらFRBが利上げをしてもほとんど債券金利に響かないという状況はやはり普通ではなく、米国の株価もまったく何事もなかったかのように上昇を続けているのが印象的です。
相場にトレンドが出ている以上、それがどれだけおかしな状況であったとしてもトレンドフォローするのがもっとも利益を出しやすいわけですから、納得がいくいかないで相場を判断するのは意味がありませんが、それにしても今年は市場予測が悉くあたらなかった年であったと言えそうで、来年はさらに相場の読みが難しくなりそうな気配です。
理屈だけで考えてもなかなか想定どおりに動かないのが金融市場ですが、こと為替に関して言えば今年は特にそうした傾向が強く、理論的に考えて作ったポジションが切らされることも多かった年といえます。
ここからドル円が大きく売り込まれるほどの材料は残されてはいませんが、逆に買いあがる材料も非常に限定的で、今年は10円弱の年間値幅を守って終了ということになりそうです。
結局年前半のトランプラリーがほとんど1年分の動きを示現させてしまったようで、それ以降は結果的にレンジ相場になっていたというのが今年の結果です。
米国の減税法案は22日までに可決の可能性も
足元で協議が続く米国の減税法案は、法人税21%で上下両院が合意した模様で、ほかの法案を含めてクリスマス前に可決できるかどうかが大きな山場になりそうです。
もちろん調整がうまくいかずに期待剥落から相場が下落することもありそうですが、市場全体としたはかなり楽観的なムードで、ドル円がこうしたムードについていくことになるのかどうかも注目されます。
今週はまだ「ECB理事会」も残されてはいますが、これを過ぎると材料的にも非常に限られてくることから、無理をせずクリスマス明け以降の相場のことを考えるほうが、得策になりそうな時期に突入していきます。
(この記事を書いた人:今市太郎)