11月3日のCBSニュースに登場した米共和党のリンゼー・グラハム上院議員が米国と北朝鮮の軍事衝突が近づいているとの認識を示し、「在韓米軍の家族を韓国国外へ退避させ始める時が来た」と語ったことは様々なメディアでも報道として流されました。
どうも「在韓米軍の家族の帰国がすでに決定」といった情報が韓国のメディアにも登場しはじめており、ひょっとすると年内などごく近い将来に米国が北朝鮮を武力攻撃で叩く可能性がでてきているようです。
これがどこまで本当なのかはまだはっきりわかりませんが、クリスマス休暇をからめた話なのか北朝鮮との武力衝突を前提として帰国なのかによっては結構厳しい局面を迎える可能性もでてきそうで注意が必要です。
政治的信頼失墜しまくりのトランプには絶好の機会
ロシアゲート問題は一旦ABCのフライング報道で、そのノイズレベルを下げる動きになっていますが、どうもトランプの司法妨害は間違いなさそうな状況で、ここからはますます支持率を下げてしまうことが容易に予想されるだけに、起死回生で北朝鮮を敵視し鉄槌を下すことで国民の広範な支持を取り戻したいと考えるのはそう不思議なことではないと思われます。
またトランプの本気度を示す意味でも、在韓米軍の家族が撤退するという情報は北にとってもかなり刺激的な内容であることは間違いありません。
17日は故・金正日の命日
12月17日は金正日の命日ということもあり、またミサイルが飛んで来ることも考えられますが、迎撃で撃ち落とすとか報復といった行動が米国から飛び出すことになれば、かなり大騒ぎになることは間違いなく、為替市場にもそれなりの影響が出るのは間違いなくなります。
これまでのように北からの挑発行動だけならばドル円は円高に振れてもとに戻るだけと思われますが、仮に米国側がなにか踏み込んだ作戦を実行し、しかも北側にダメージが与えられるような結果がでた場合には、ドル円は必ずしも円高ではなくドル高へと一気にシフトする可能性が考えられます。
とくに相場はクリスマス前ということでかなり薄くなっている状況ですから、想定以上に大きくブレるリスクも考えておかなくてはなりません。
個人的にはこの時期に本当に何か決定的な事態が起きるのか?という懐疑的な部分も大きいわけですが、トランプならやらないという保証はどこにもないわけで、一体どういうことになるのかが非常に注目されます。
17日前後ともなれば相場はさらに薄くなりますから、アルゴリズムの初動だけでもかなりオーバーシュート気味に動くことが予想されますし、逆にドル高円安が示現した場合には大きな上昇につながることも警戒する必要があります。
とにかくこの時期は迂闊にポジションをとらずに「様子を見る」ことも相当重要になりそうです。減税案はいつから実施するかという点を除けばほぼ実現が可能になってきていることから、これを国民へのクリスマスプレゼントにするとともに、北のミサイルの脅威を取り除くことにも成功したと言えば確かに支持率は急回復する可能性があります。
とくに他国との戦争という事態では米国民は異常に結束力を高め大統領を支持するというのがこれまでも何度もみられた光景ですから、トランプが北への成敗をうまく使いこなすとなれば今が絶好のチャンスなのかもしれません。
少なくとも11月のアジア歴訪で各国にはそれなりのことは既に伝えているはずですから、やるタイミングとしてはこの12月はかなり信ぴょう性がありそうです。
あまり考えたくないことですが、その後北からの報復が日本に飛び火した場合には為替相場はこれまでにない展開に陥ることもありそうで、この在韓米軍退去観測が本当ならばなんとも不安な時期にさしかかっている状況です。
(この記事を書いた人:今市太郎)