東京タイムだけを見ていますと比較的平和な感じのするドル円ですが、昨晩のNYタイムは方向感がまったく失われ、とくに中盤以降は報道のヘッドライン次第で上げたり下げたりの繰り返しで殆ど手出しができない状況が続きました。
つまりこうした状況というのは市場のテーマが希薄で、次々飛び出すニュースに「アルゴリルズム」が素早く反応しては上昇したり下落したりしているだけですから、ポジションをとっても儲からないことは間違いなく、もう少し市場に方向感がでてから参入すべき難しい局目を迎えているということができそうです。
狭い値幅を行き来するだけ
NYタイムに入るあたりから、ドル円はかなり狭い値幅をいったり来たりするだけでほとんど手出しができない状況に陥りました。
株価のほうはNYダウ、S&P、ナスダックともに堅調でクリスマス商戦も好調であることが支えになり、しかも税制改革期待も継続中であることから、非常に伸びることとなりました。
しかし、為替のは米民主党上下両院トップ、トランプ大統領との会談拒否とうニュースが流れると債務上限問題がリマインドされて下押しとなり、その後英国・EU、離脱に伴う清算金で合意というヘッドラインが出たことで、ポンド円の爆騰につれて111.43円付近まで反発、ただし、これを英国政府が否定してまたポンドが下落したのについでドル円も下落の動きとなりました。
さらに3時過ぎに北朝鮮が弾道ミサイル発射の報道を受けて一瞬111.06円レベルまで下落したかと思えばすぐに買い戻りが入り111.300円まで上昇すという状況で、極めつけは米国上院が税制改革法案の採決を行うというニュースが明け方の5時過ぎぐらいに飛び出してからは111.600円レベルまで上昇することとなり、それを受けた東京タイムは堅調に推移している状況です。
チャートでみますととにかく上へ下への大騒ぎで値幅的にはたいしたものではありませんが、相当短い時間足でスキャルピングでもやらない限りはほとんど利益がとれない猛烈な相場になってしまいました。
ここからは税制改革法案の状況次第か
このように市場には明確なテーマが存在せず、とかくいいところどりをしようとする株式市場はほとんど都合の悪いことには目をつぶり、為替だけがリスクオフになったりオンに戻したりというややこしい相場展開をくりかえしています。
今週の相場に関しては米国の税制改革の上位通過がどうなるのか、修正案がでるのかなどの部分が大きくクローズアップされそうでマーケットはこの話題に収斂していくことが考えられます。
メディア上にはかなり楽観論も飛び出していますが、年内通過は難しいという問題も残っているようですし、そもそも先送りにした債務上限問題も残っているわけですから、そんなに楽観的にふるまっていいのかどうかはかなり疑問です。
これが不発に終わった場合にはそれなりの下落が示現することになりそうですから、とにかくヘッドラインをよく見ながら冷静に判断していくことが必要になりそうです。
また株式市場はさらに好感することも考えられますが、為替は一定の好材料にしかならないリスクは依然として残ります。相場の状況としては、引き続き上値は重そうで112円レベルまでは到達する可能性がでてきていますが、ドル円ロングの残り方を見ていますとまだまだ上値は抑えられることが考えらます。
どうも年末にさしかかる段階でかなり手出しのしにくい相場が続きますが、想像と期待でポジションをもつよりもしっかり事実とその後のチャートの動きをみながらどうするかを決めることが重要になりそうです。
12月は中盤に今年最後のイベントとなる各国の中央銀行の政策決定が矢継ぎ早に発表されますので、これを巡っての思惑展開もでてきそうですから、まだまだ利益機会は残されていそうな状況です。あまりあせらずにじっくりと対応していきたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)