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11月散々アジア歴訪に時間を使ったトランプでしたが、結局北朝鮮との関係はなんら進展がなく、足元ではまたしてもミサイル発射の観測報道が飛び出し、さらに現実に29日の未明に実際にミサイルを発射したようでFX市場はドル円は瞬間的に円高が進みました。
ただ、米国の株式市場はまったく意に介さない状態が続いており、もはや北朝鮮情勢は相場には関係ないという雰囲気が醸成されつつあります。もはや北朝鮮情勢悪化となると円高だけがやたらと進行することが目につき始めています。
米国の兵糧攻めは軍の越冬を困難にするとの見方も
ただ、さすがにトランプ政権の北朝鮮への圧力はボディブローのようにこの国を追いつめているようで、テロ支援国家への指定により「武器輸出・販売の禁止」「軍事・民生の両方に使える製品の輸出管理」「経済援助の禁止」「金融取引の制限」などの制裁が科されることになるわけです。
とりわけ厳しいのはドルで諸外国と決済ができなくなることや石油の輸入が絶たれることで、経済情勢は一段と厳しくなっているようで燃料はすでに軍関係者にも行きわたっておらず食糧事情も極めて悪化しているようで、この冬を乗り越えられないのではないかとの観測もではじめている状況です。
ナンバー2粛清の権力闘争も勃発との情報も
韓国からの情報では金委員長の最側近の1人で、かつては“政権のナンバー2”とも目された総政治局長の黄炳瑞氏をはじめ、複数の将校が処罰された可能性もではじめており、政権内部に亀裂が入り事態が変化しはじめていることを示唆する報道もではじめています。
そもそも円高方向シフトでは為替は円高の深堀が進むか？
北朝鮮問題はいくら憶測してみても始まりませんので、具体的にFX市場の影響を考えることにしたいと思いますが、やはりミサイルが飛んでくるだけですと、瞬間的な円高が進むだけで今回も大きな下落は示現していない状況です。
相場自体が北朝鮮と関係なく円高に振れている以上その深堀が進んでしまっていますから、下落してもすぐに戻すのかどうかは気になるところです。
これまでのミサイル発射は瞬間的な円高から比較的すぐもとに戻る動きを見せたものですが、いまのところ市場はそれほど大きな反応を示していません。
これまでの報道ではトランプの外遊が北朝鮮攻めのコンセンサスをとるのが目的という論調も目立ちましたが、最終的にトランプはプーチンとの会談を設定しておらず、本格的に戦闘行為を行うのであれば、根回しが足りていない状況にもみえます。
本来米国が戦闘行為にでれば、その事実をもってドル高が進む可能性が高まるわけですが、ことドル円に関してはその流れにのらないリスクもでてきそうな状況です。
相場的にはよほど特別なことが起きないかぎり相当飽きがきている北朝鮮リスクですし、世界的な地政学リスクでいえばサウジアラビアやイランのほうがかなり大きな問題になりつつありますが、ゴルディロックス相場はまったく我関せずで、都合のいいことだけが材料視されている状態です。
北朝鮮問題は円高だけが示現し、日経平均だけがなぜか下落する可能性も高まりつつあり、世界的なリスクオフ材料にはならなくなってきているのかもしれません。
ただ、現状は想像以上に北朝鮮が追いつめられている状況であることだけは間違いないようで、窮鼠猫を噛むとばかり日本になにか仕掛けてくるリスクも完全には否定できない状況です。
奇しくも12月17日は金正日の命日でもあることからここからの数週間はなにか軍事的なパフォーマンスがある危険性も高まりつつあります。
12月中旬以降は先進各国中央銀行の政策決定会合も控えており、為替市場は年末最大の変動要因が発生するだけに、そこに北朝鮮の問題が浮上すれば相場が大きく動くリスクが高まることもあらためて考えておく必要がありそうな状況となってきています。
（この記事を書いた人：今市太郎）
