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コンピュータ売買がもたらす相場の違和感

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最近株式市場の動きにしてもFX市場の動きにしても、人が裁量でトレードするのとはあきらかに異なる相場の動きが結構随所に現れるようになってきています。これにはやはり明確な理由があるようです。
それはトレードにコンピュータの導入を積極的に進めたことが、こうした人がやらないような売買による動きを示現させているからにほかなりません。
本来人だけで構成された市場にコンピュータが入り込み、それが逆にマジョリティになることで、起きる不思議な状況は、それがプラスに働いているうちは問題ありませんが、ひとたびマイナスに働きはじめると飛んでもないことになって市場に現れかねません。
最近の相場を見ていますと、次の大暴落はコンピュータが引き起こすのではないかと非常に心配になります。

ボリンジャーバンドの標準偏差がワークしない相場

ここのところ株の話をこのコラムでも書いていますが、米国のNYダウや日本の日経平均はそこそこの長さである52日移動平均線のボリンジャーバンドの+2σの外側に出た相場が、延々とバンドウォークを継続するという、確率論から言えば異例中の異例ともいうべき相場を展開しています。

相場というのは人が中心になって売買しているからこそ達成感が出たり、やり過ぎという意識が芽生えたりするものですが、今の相場にはこうした人が独自に感じるリスクの感性といったものが登場する余地がなくなりつつあるようで、上がれば容赦なくついていき、経験がある人の目からみるとちょっとやり過ぎと思われるような状況でも、どんどん買いあがるという異常な強気相場が展開しています。
日経平均にしても企業業績が上がったということは確かですが、9月と足元とでそんなに「ファンダメンタルズ」が変わったのかと言われれば決してそうとは言い切れないなかで、驚くほど相場は上昇し、しかも共通する動きとして押し目を一切つくらないことがあげられます。
本来ボリンジャーバンドの標準偏差の発想でいえば、プラス2σの外側で相場が延々と展開するというのはかなりのレアケースなわけですが、考えてみると昨年11月のトランプラリーのときもまったく同様の展開になっていたことを思い出させられます。
米国の証券会社での自己売買はほぼ95%がコンピュータによる取引で、そのプログラムを開発し、管理する人間はごくわずかで人が、ファンドマネージャーをやるケースも非常に限られているといいます。
直近の相場にかなり頻繁に表れ始めている不思議な動きというのも、コンピュータならではのものでAIがAIを意識して実現するものと理解するとなんとなく謎が解けてくる気分です。

コンピュータを管理・運用する人材も暴落知らず

しかも困ったことに、こうした相場の売買のプログラムを開発運用するクォンツなどと呼ばれる従業員もほとんどがミレニアル世代で、すでに「ITバブル」も「リーマンショック」の暴落すらも経験したことがないことから、まるで事故にあったことのないモータースポーツのレーサーのようなもので、ブレーキを踏むという行為をすっかり忘れて爆走することに専念していることが非常によくわかります。

しかし買い上げてもリスクを感じないコンピュータは、ひとたび相場が下落しはじめれば、なんの躊躇もなく反対売買に翻ることになりますから流動性の減少した中で必要以上に売り込んでくる可能性もでてくることになります。
こうした足元でのコンピュータ氾濫による過剰売買は9年前の「リーマンショック」よりもはるかに進んでしまっており、日々相場の状況にはもっともらしい説明が加えられていますが、実はディテールではよくわからない部分もかなり出始めている印象が強まっています。
為替におけるファンド勢のポジションの積み上げも同様に、コンピュータの判断で行われている可能性がかなりあり、どうも過剰になりがちであることが非常に気になります。
フィボナッチの主要ポイントで相場がぴったりと止まるのもコンピュータならではという気がしますが、逆に人が絡まないだけに、アストロのような人の感性に影響を与える材料にはAIにその仕組みが導入されていないかぎり影響はなさそうで、相場を長くみてきている人材の経験もうまく活かせなくなりつつある気がしてなりません。
このことについては市場では多くが語られていませんが、明らかにコンピュータが介入することで相場に変化が表れていることは間違いなく、この先の暴落もコンピュータが引き起こすリスクはかなり高いと思われます。
それを人としてどう察知するかはFXの取引でもごく近い将来に向けた大きな課題といえそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎
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