いよいよ11月相場ということになりますが、株式市場の異常な上昇相場に比べてFX市場のほうはもうひとつはっきりとしたトレンドを感じない相場状況が続いています。
とくに先週金曜日114.449円近くまで上昇したドル円相場は引けにかけて大きく巻き戻しがでてしまい、なんと113.600円台で引けるというかなりの下落を演じることとなってしまいました。
まあ週末なのでポジション調整といってしまえばそれまでなのですが、70銭以上も簡単に下落して陰線引けになるのかというのがちょっと気になるところです。
いろいろ原因を探っていきますと、やはりユーロが大きくドル円に影響を与えていることがわかります。今回はこのポイントにフォーカスしてみたいと思います。
ドル円は上伸したのに何故簡単にさがるのか?
改めてチャートを見直してみますとドル円は21時半の指標が非常に好調で大きく上伸したのちすでに23時には113.713円まで下落し、その後114円台まえ戻そうとする動きがでましたが、結局NYタイムの午後の薄商いでずるずる下げて113.644円まで調整する展開となってしまいました。
同時間帯のユーロ円の相場展開をみてみますと、同じく21時半には吹きあげましたが、どうやらその後前日のユーロドルの大幅下落に耐えかねて実に今年の6月からユーロ円を買い上げてきた投機筋が月末も近いことから相当反対売買の手仕舞いをしかけて大きく下落した模様で、今後ユーロドルでも同様の動きがでるとドル円にさらに影響が出る可能性がでてきています。
週末に発表されているIMMのポジションではドル円が増加に転じており、ユーロドルは逆にロングが減り始めていますので、ドル高方向に動こうとしていることはわかりますが、こうしたほかの通過調整が月末にかけてでることになると押し目をつくるまでドル円は少し待ったほうがいい可能性もでてきそうです。
この6月段階のユーロ円はなんと124円という超低レベルですからまだコストに到達していない投機筋も多いものと思われますが、ここからユーロドルがさらに下落すると投げは加速するリスクがかなり高そうで、いやな雰囲気が漂いはじめています。
すでにユーロ円は27日のロンドンFIXにむけてなんと1.15台にまで下落していますので、完全に流れは変わってしまっており、ドル高が進めばかなりの投げがでてそのスピードが加速するリスクもありそうです。
正直なところテーパリングのスタートが決まってもここまでユーロドルが売り込まれてしまうとは思ってもみなかった条項ですが、市場は非情であり、週末まででもかなりの投げが出たことが予想されます。
多くの投機筋もかなり目算が狂ってしまったはずで建て直しのために一端ポジションを縮小する動きがでることは十分に考えられ、ドルの上昇で一番儲かりやすいのは実はユーロドルの売りになる可能性も高くなってきています。
相場の先行きイメージと実際に市場で起きていることが乖離しすぎ
ドル円は大して動いているわけではありませんから、売っても買っても大損をするような状況ではありませんが、ユーロについてはユーロドルもユーロ円も結構なダメージがではじめており、想像以上に市場が痛んでいることも考えられます。
思惑と違ってもうからない投機筋は資金を大きく移動させてくることが十分に考えられることから、月末にむけての手仕舞いには相当注意が必要になりそうです。
やはりこの手の動きがでるのはLondon Fixにかけて多くなりますが、円が絡むものは東京タイムに登場することも予想されますので、週明けからの相場は依然として注意深く取引することが求められそうです。
FX相場はだいたいいつでもいろいろなことが起きますから、やりやすい時期などというのはあまりありませんが、足元の状況は株の動きとも関係ないことから結構やりにくい雰囲気になりつつあります。
(この記事を書いた人:今市太郎)