週明けからFX市場は北朝鮮からのミサイル攻撃がある可能性が高いことから、ドル円中心にどうしても上値の重い展開が続いており、様子見を決め込むトレーダーも多いことから、相場も心なしか閑散とした雰囲気が漂っています。
本邦勢は国難だと叫びまくる首相が、なぜか国会を解散までしてしまいましたから、特に北のミサイルには敏感な状況で、早朝になるとドル円相場は下落して様子見をするというかなり不思議な押し目をつくる状況が続いています。
果たしてこの相場いつまで続くのか、かなりストレスのたまる状況ではありますが、世界的に北の脅威に対して相場が反応しているのかと言われれば、必ずしもそうではないようで、とくに投機筋はまた異なる発想でこの秋から年末までの相場に仕掛けを繰り出そうとしていることが窺えます。
北朝鮮お構いなしでドル円を買い持ちする投機筋
出典:IMMドル円通貨ポジション推移 CMEサイトよりデータ転記エクセルシート化
国内に居ますと、いよいよ10日から18日ぐらいが北のミサイル挑発で危なくなると思っている市場参加者がほとんどなわけですが、IMM・シカゴの投機筋ポジションを見ていますと、10月に入ってもドル円のロング、つまり円売りが増加中であり、米系の投機筋はかなりドル円を買い持ちしていることが窺われます。
この秋口の相場というのは、ファンドも利益を出さないと来年のファンドマネージャーの席がなくなるというかなり厳しい時期になりますから、誰も必死で、ユーロドルで1.25以上を目指せるのではないかという夢はどうやらまったく可能性がなくなってきたことから、9月ポンドで荒稼ぎした短期のファンド勢はいよいよ「ドル円で年末ひと稼ぎしてやろう」と画策しているように見受けられるポジションの推移が垣間見られる状況です。
米朝が戦争になるとは想定していないファンド勢
足元ではロシアからの報道で、北のICBMの射程距離がすでに米国本土に到達しているなどという物騒な報道があって、ドル円はアルゴリズム主導で大きく売り込まれて週明けを迎えているわけですが、米系のファンド勢は、まあなにか飛んでくるとしても戦争には発展しないと見ている向きがどうも多いようで、実は韓国での世論調査でもここから戦争になると思っている韓国民は異常に少ないのが特徴的な状況といえます。
もちろん何が起こるかなど絶対に断定することはできないわけですが、最悪ストップロスを入れて覚悟を決めて売買している投機筋が多いのは確かなようで、むしろここから米国の株式相場が少なくとも年末まで好調を維持することが期待されるため、それに乗る形でドル円を買い上げてやろうと画策しているように見えて仕方ありません。
果たしてこうした投機筋がどこまで買い上げようとしているのかはまったく判りませんが、一回の大相場で6円程度獲得するつもりならば118円に迫る買い上げも考えられるところで、こうした目論見に追随するかどうかを判断することが必要になりそうです。
ただ、このドル円買い上げ策も12月の「FOMC」までの話になりますし、米国の減税が実現不可能になったり、超ハト派の次期FRB議長が選出されたりしますと状況が変わることもありますから、最後までついていくかどうかもよく考えることが必要になりそうです。
秋口は理由がはっきりしないのに妙に方向感が鮮明になる時期がありますが、こうしたものはだいたいファンド勢の仕掛けが入っていることがほとんどで、昨年の11月からのトランプ相場の再来を期待しているファンドが結構多いことがうかがわれる状況です。
果たしてこうした思惑が本当に実現するかどうかは不明ですが、相場の動きを読み解く上ではひとつのヒントになりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)