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10月に入ってからFX相場がかなり難しい展開になりつつあります。とくにドル円は債券金利が上昇しても一緒に上を目指さないという非常にわかりにくい展開となっており、どうもやりにくい相場が続きそうです。
政治にゆれるユーロ
ユーロドルはこのコラムでもご紹介したとおり、一時は底値から倍返しで対ドル1.25を超えるレベルまで上伸することが期待されましたが1.21レベルで頓挫することになり、ドイツの選挙に続き、スペインのカタルーニャ問題で酷く売られる展開が続いています。
またこの先もイタリア、オーストリアの選挙も控えていますから、すぐに反転して上昇するといった動きにはならなくなってきており、これをうけたユーロの下落はユーロ円でも顕著な状況で、ドル円の下押し要因になってきています。
利上げ期待どころではなくなったポンド
さらに9月利上げ期待などから大きく買われて、上昇したポンドも結局「BREXIT」で相当なダメージをうける可能性が高まってきたことから大きく売られる展開になってきており、ポンド円の下落がドル円の足を引っ張るといった流れが顕著になりつつあります。
月初までの動きといきなりここまでセンチメントが変わるのもちょっとびっくりですが、欧州系通貨は政治の問題と常に背中合わせであるだけに、一定の方向性についてだけ思い込んで取引していると結構痛い目にあいそうな雰囲気になってきています。
とくにポンドの場合は英国とEUとの交渉次第で今後もかなり荒れることが予想されますので、金利期待だけでポンドを見ていると大失敗しそうな可能性もではじめています。
クロス円に大きな影響を受けるドル円
ドル円は必ずしも主体的な動きとはなっておらず、ポンドやユーロの動きに影響をうけて上下するようになっていることから、非常に動きがわかりにくいのが足元の正直な印象です。
ここのところ立て続けに好調な米国の経済指標が発表されてももはや簡単には113円台には戻らなくなってきており、下手をすれば下値ばかりをためしに行きそうに見えるのもかなり気になる状況です。
ただ、相場が終わってみれば112円台のレンジを行き来しているだけですから、結果的には大きな動きになっているわけではなく、これもまたやりにくさを感じる原因となってしまっています。
次期FRB議長決定の思惑で金利が上がらない？
10月から「FRB」の資産縮小がはじまっているにも関らず、米国の10年債利回りは想定したほど上昇してはおらず、これもドル円の上昇を抑える動きになってきてしまっています。
一方でこの金利が上昇しないのは、次期「FRB」議長が選出されると来年以降利上げが今年のペースのようには進まないのではないかといった新たな楽観論が市場に台頭しているからだと見る向きも増えているようで、今のところタカ派のウォルシュがなるのか、「ハト派」のパウエルに決まるのかで、今月後半の相場展開はかなり異なるものになることが予想されはじめています。
株式市場も12月までの利上げは織り込んだものの、そこから先に積極的な利上げを行わず緩和的状況を温存させた場合、トランプ相場が2018年の中間選挙まで継続するのではないかといって恐るべき楽観論も飛び出してきており、どうもこのあたりの市場の思惑がドル円の上昇を妨げはじめている可能性がでてきているのです。
ここまで毎日じり高を続けている米国の株式市場ですから調整もなくこのまま上伸を継続すると言うのもにわかには納得しがたいものがありますが、強気相場にはこうした楽観論も根強く、これが相場を下げさせない材料になっているという点だけは納得はできないものの、理解はせざるを得ないところにきています。
（この記事を書いた人：今市太郎）
