週明けのFX市場は、この週末に北朝鮮が建国記念日にちなんで恣意的なパフォーマンスを行わなかったことから一旦大きく買い戻される展開となり、ドル円は株式市場の大幅上昇も好感して108.500円レベルまで値を戻す展開となっています。
ただ、朝方からそれなりの買いも入っているようですが、ショートがびっしり溜まっているというほどの状況でもなく、先週末段階で107円前半まで下押ししてしまったこともあり「ショートカバー」で大きく買いあがる状況でもないようで、かなり上値は重たい展開になっています。
一説には太陽フレアの影響を受けて計器がうまく作動しないことが、この週末のロケットの発射を食い止める大きな原因になってくれたのではないかという話もでてきていますが、とにかく余分なミサイルが飛ばなかったことで相場は一応の平静をとり戻しつつあります。
ただ、北朝鮮問題で相場が上下するのはだんだん日本と韓国の市場以外なくなりつつあるのも事実であり、このネタで相場が大きく動くのも相当限られた範囲になってきていることがうかがわれます。
108.800円にかけては戻り売りが相当強くなりそう
これまで108.600円から108.800円というのは今年に入って長きに渡り下落の際の強いサポートレベルとなってきただけに、ここからはそう簡単にこのレベルを超えてドル円が上昇するわけにはいかなそうな状況です。
下手をすれば実需の輸出勢もここから売ってくることも予想され、とりあえずリスク一段落となってもそう簡単にはドル円が戻ることはなさそうな状況です。また一部の投機筋がドル円の下方向を本格的に見据え始めている点も非常に気になるところです。
プーチンの様子を見ていると米国は戦争できない
北朝鮮の挑発行為は9日を過ぎたからすべて終了というわけではなく、おそらく10月末まではリスクがいきなり降りかかる可能性を考えておかなくてはならなさそうです。
しかし北朝鮮への制裁をめぐって、声高らかに厳しい内容をもとめる安倍首相と違い、ロシアのプーチン大統領が相当な抵抗感をもっていることを見ますと、北朝鮮という国の生い立ちから現状まで必ずしも米国主導ですべてが展開しないことは一目瞭然で、中国が隣国ということを含めて米国が簡単に戦争できるような状況ではないことはどうやら明らかなようです。
ただ米国の国土がなんらかの形で攻撃を受ける可能性もまったくないわけではありませんから、断定はできないものの、これまでに準じたミサイルの発射といった事象が何回かおきても徐々に「リスクオフ」にはなりにくくなりそうな気配は強まっています。
ドル円の下落要因は北とハリケーン以外にも多数
ただし、ドル円が下落しようとする材料は北のミサイルやハリケーンの問題ばかりではなく、トランプが存在するかぎり潜在的なドル安リスクが高まるのは変わりありません。
当面はドル円は戻りがあれば、とにかく一旦は売ってみて下がらなければ再度売り場を探すという作業の繰り返しが続きそうです。
相場に絶対というのはありえませんが、とにかくここから109円を超えて上伸していくのは相当な材料が伴いませんと簡単にはいかなさそうで、再度107円台を見に行く可能性はかなり高い状況といえます。
北朝鮮問題は国内では安倍内閣が異常に煽る発言をして大きな問題にしていることから、メディアの取り上げ方も大きく、それに呼応するように国内の株式市場は北の動きでオンオフを繰り返していますが、ドル円にとってはだんだんと日柄調整をすることで材料から外れていくことが考えられます。
それと入れ替わりに本質的なドル円の下落要因というものが顕在化してくる時期が、まもなく到来することになるのではないでしょうか。
(この記事を書いた人:今市太郎)