6日のNYタイム、なんとか109円台に戻したドル円がいきなり108円台へと沈み込む瞬間が見られました。「フィッシャーFRB副議長」が10月に辞任する という報道が流れたためで瞬間的に40銭近く下落することとなりましたが、その後米国の債務上限問題が解決する旨の報道が飛び出して相場は完全に行って来いの動きとなりました。
フィッシャー副議長といえば現在の「FRB」の影の議長ともいわれる存在で、「イエレン議長」との二人三脚で市場のセンチメントをコントロールしてきたフィッシャーがいなくなると、「ハト派」の「FRB」の体制にも大きな変化が現れることが予想され、この秋はいよいよ新FRB議長の人事が注目されることになりそうです。
イエレン続投論もではじめたが本人は固辞するのでは?
この夏には「コーンNEC議長」が「イエレン議長」の後継者になる話もでましたが、どうもトランプの差別発言が大きく響いてコーン議長が就任することはなさそうな状況です。
「イエレン議長」は民主党支持者であり、民主党政権時にアサインされた議長ですから、トランプ政権下でこのまあ議長を続けるのにはかなり抵抗もあると思われますし、なにより「イエレン議長」が志向する政策の方向性とトランプが持ち出そうとしている財政出動などには親和性がほとんど感じられませんから、いずれにしてもトランプ陣営が「FRB」の建て直しに介入することは間違いない状況ではないでしょうか?
問題は金融引き締めを継続するのかどうか
ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は5日、「FRB」のこのところの利上げは物価上昇と賃金の伸びの鈍化につながっている可能性があり、米経済に対する実質的な阻害要因となっている恐れがあると表明して話題になっています。
この人物はもともと「ハト派」ですからこの手の発言はたびたび行っていますし、そもそも「FRB」の利上げにも「FOMC」で反対票を投じていますが、確かに利上げが米国の借金経済にじわりとネガティブな影響を与え始めていることは間違いなく、「バランスシート」の縮小も本来慌てて行うべきことではないわけですから、トランプが今回の人事刷新で金融引き締めを急がない方針の人材を議長に指名することで「FRB」の政策を大幅転換させる可能性は十分に残されているといえます。
トランプ陣営に協力する人材が少ないのが大きな問題
ただ、トランプ陣営はどうもそれに協力する優秀な人材が限られてきており、とくに人種問題では多くのユダヤ出身者が多い金融業界の逸材を敵に回す形となっているのは否めず、コーン議長を諦めたとしてもほかに的確な人材を指名できるのかが大きなポイントになりそうです。
「FRB」がこの秋から来年にかけて粛々と金融引き締めに動いた場合には株も為替も債券相場も大きな転機を迎えることになり、それがきっかけで暴落を引き起こしかねないだけに新議長のもとでどのような政策が進められることになるのかは非常に重要です。
それにしても、最初からわざとやっているとはいえ、トランプの政策運営は常にギクシャクすることを伴っており、それがご本人の戦略であるとしても、さすがに国民から飽きられるのではないかという危惧の念は日に日に高まりつつあります。
債務上限はとりあえず3ヶ月先延ばしとなっていますが、減税に関する問題やオバマケアの続編に関する対応などで大きな失望を生み出すことになると、この先どのように政権運営していくかにも影響がでるだけに、ここ数ヶ月はかなりの正念場になるのではないでしょうか。
そんななかでの「FRB人事」に引き続きウォッチしていきたいと思います。
(この記事を書いた人:今市太郎)