週明けの東京市場はなんとも方向感のないFX相場となってしまっていますが、スティーブンバノン更迭ですっかり元気がなくなったかと思われたトランプは、どうもそうでもなさそうな状況で、相変わらずむちゃくちゃな論理を振りかざしつつあり、9月のFX相場には新たなリスクが高まりつつあります。
それが9月末に期限を迎える「債務上限問題」で、これは事と次第によっては想像以上の大きな惨事を招く可能性がでてきているのです。
デフォルトをネタにして議会を揺さぶるつもりか?
今年も例によって米国の債務上限問題が浮上してきていますが、いつも騒いでいてもなんとかなるこの問題は、どうも今年に関する限りぎりぎりのところでなんとかなるという方向には動かない可能性がでてきているようです。
これはまさにトランプがいるからで、「デフォルト」を逆手にとってメキシコとの国境の壁の費用を要求するなど、これまでのオバマのようになんとか期日までに解決させようという意思がまったく見られません。
9月まではまだ時間があるように見えますが、実質2週間程度で審議を終えて法案を可決しませんと今回ばかりは「デフォルト」になりかねず、トランプ自身はそれもやむなしと腹をくくっているようにもみえます。
こうした確信犯的対応はかなり危険で、今年は本当にまさかの事態を見ることができることになるのかもしれません。
デフォルト確定となればFRBの政策も一旦すべてストップか?
このまさかのトランプによる「デフォルト」恫喝手法が現実にものになると、「FRB」が9月にすすめようとしている金融引き締めも結局先延ばしにせざるをえなくなる可能性が高まります。
もちろん金融市場はかなり嫌気して債券は売られ、金利が上昇して株式市場が癇癪を起こしたことをきっかけにして大幅な相場下落となる危険性も高まりますが、今ならトランプは「FRB」のせいにすることが可能になりますから、相場の暴落も視野にいれて緊急経済対策として議会が承認せざるを得ない状況を作り出そうとしている可能性もでてきているのです。
まあまさかそんなことを考えているはずがないと多くの投資家は思うかもしれませんが、トランプ政権発足時はもっとも条件のいいところからスタートしていますから、やがて経済が悪化することはすでに想定しているはずで、逆にそれを自らの政策実行機会として狙っていることも確かに考えられる状況です。
こうなると9月後半にむけて、激しく相場が下押しすることも考えておく必要がありそうです。
トランプならありえる戦略
通常そんなことは想定しえないものですが、今年のトランプ政権ならまったくないとはいえないところが恐ろしい状況です。
決定的な暴落ともなれば、また金融緩和政策を再開しなくてはなりませんし、経済対策にも本腰を入れることからインフラ整備や減税案も民主党の議員を含めて可決せざるを得ない状況に陥ることは確かで、トランプの狙いを考えれば十分にありえそうです。
こうなると9月は相当な相場下落のリスクに直面することになりますから、とにかくドル円は戻ったら売りでポジションをもつことが重要になりそうです。足元ではユーロドルも大きく上昇していますが、こちらもここからどうなるかはよくわからないところで、かなり慎重な売買が求められます。
米国市場は9月4日のレイバーディが終了すると本格的に夏休みも終了ということでほとんどの投資家も市場に戻ってきますから、今週いっぱいはまだ今のだらだらした相場が続きそうですが、来週から明確な動きででるかどうかにも注目が集まります。
北朝鮮問題も9月9日までは気が抜けない状態ですが、それにもましてトランプの動向に厳重な注意が必要になりそうな9月のFX相場です。
(この記事を書いた人:今市太郎)