一時は111円に乗りそうなほど跳ね上がり、「ショートを持っていたFXトレーダー」を振り落としたドル円でしたが「FOMC議事録」になんら新しい内容が見出せず、トランプ政権が製造業諮問委員会と戦略・政策フォーラムを解散した情報が流れたことも下押しの支援材料となってしまい、一気に110円割れの手前まで下落することとなりました。
こうしてみますと、決してまだ反転上昇基調になったわけではないことがよくわかります。この1週間は市場参加者も少なかったことから、ちょっと経済指標がよければ想像以上に相場が戻すといった展開が顕著でしたが、経済状況が大きく改善したわけではないだけに、また悪い指標が出れば売られるの繰り返しで「アルゴリズム」遊びにFX相場が付き合わされた感も強いものがありました。
ジャクソンホールでも何も出ない可能性
週があけますといよいよ「ジャクソンホールの開催」ということになりますが、数年前に「バーナンキ」が重要発言をしたことから注目されるこの会議は、別に主要な金融政策責任者の施政方針演説の場ではありません。
また、早々と「ドラギECB総裁」の講演では何も目新しいものは出ないとの報道でユーロドルが手痛く売り込まれるなど、むしろ無風の状態から勝手な失望売りがでることに注意したほうがよさそうな状況になってきています。
むしろこの週は米韓の軍事演習に対する反発から北朝鮮がなにか余分なことをやらかす可能性が高まりそうで、軍事的な緊張も依然として継続しそうな雰囲気になってきています。
とくに8月21日は核実験なりICBM発射なりを行なうリスクが指摘されていますので、週明けの東京タイムスタート時から騒ぎが大きくなる危険性についてもあらかじめ意識しておいたほうがよさそうです。
8月ほとんど調整しなかった日米の株式市場も気がかり
日本ではお盆が終われば夏もほぼお終いに近づく印象が強まりますが、北朝鮮ネタで下押しした日米の株価は完全に元に戻っており、何もなくても8月に下落する「アノマリー」は今年に関してはほとんど履行されていない状況です。
このまま9月に突入するのか、調整がこれからなのかが気になるところですが、月末に向けて動きがでることにも注意が必要になってきています。
どうも全体としてFX市場は方向感とテーマ性が失われている状況で、下手をするとこのまま9月の「FOMC」までほとんど動かずに日柄調整をしてしまう危険性もではじめています。
9月9日の北朝鮮の「建国記念日」をターゲットにして米国が先制攻撃を仕掛けるのではないかとの憶測も強まっており、一部の同盟国の首脳との電話会談でトランプがその内容を仄めかしたなどという、まことしやかな報道もでていることから、すっかり収まったかに見える北朝鮮情勢も緊迫化するのはこれからになりそうな気配です。
ストップロスをおかずにロングなどをもっていますと、週を超えるときにとんでもない事態に巻き込まれて大きな損失を被りかねない状況ですから、ここからはかなり慎重に取り組む必要がありそうです。
これまで日本で騒ぎになっていてもどこ吹く風だった韓国の株式市場にも変化が見られており、地続きの国の金融市場が大騒ぎをしはじめるようなら、いよいよ戦争リスクが高まることになるのかも知れません。
足もとではユーロドルがかなり売り込まれるようになっており、一旦は1.19をつけたのがピークになった可能性もあり、相場に変化がでるのかもとに戻るのかを見極めるのが想像以上に難しくなりつつあります。
8月後半の相場状況をしっかり見極めたうえで9月からの売買方針を決めていきたいところです。どうも今年の夏休みに関してはFX相場に手を出さなかった人がもっとものんびりした時間を過ごすことができたのではないでしょうか。
(この記事を書いた人:今市太郎)