先週末北朝鮮のICBM発射ネタで大きく売り込まれたドル円でしたが、週明けからは一転買戻しが強まり、ロンドン勢などのショートあぶり出しの上に米国の経済指標がよかったことから「110.850円」レベルまで跳ね上がる結果となり、かなり市場は痛んだ気配が濃厚です。
誰が損をして誰が得したのかは定かではありませんが、お盆休み第一ラウンドは下攻めをした連中が結局ショートを切らされた状態で、すでに最安値から2円近く持ち上げられていることから、結構”怪我人”がでたものと思われます。
ショートが切らされただけで買いあがっているわけでもない相場
確かに底値からみますとだいぶ戻した感がありますが、ここからどんどん上昇するほどの材料があるわけではありませんし、なにをもって一服感がでたという報道になっているのかよくわかりませんが、北朝鮮のネタも「米国の動きを見守る」という言葉がでただけで状況が変化したとはいえないものがあり、実際の攻撃がなかったとしてもまだまだ揺り戻しが出てきそうな不安定な状況が続いています。
とくにFX業界のアナリスト解説は後付け感が強く、嘘か本当かもよくわからないような印象だけが語られていますので、気をつけたほうがよいのではないでしょうか。
依然としてドル円は上方向には相当なドルロングが滞留していますし、今週いっぱいお休みが多い輸出勢の売りのリーブオーダーもびっしり111円台から上に並んでいる様子で、そう簡単に上を試して流れが変わるというほどFX相場が変化しているわけではないことも頭に入れておくべきでしょう。
とくに下方向は本邦のFX投資家を別にすればほとんどのショートが一旦切らされていますから、逆に動きやすくなったともいえ、状況の変化ではまた簡単に下落を始めることも予想されます。
9月9日の建国記念日はまだこれから
北朝鮮は9月9日に建国記念日を迎えることから、記念行事でなにかをやらかすのはまだこれからとの見方も強い状況です。
また日米の軍事能力を試す上でもグアム近海の公海上にミサイルを撃ち込んだときに果たして迎撃が成功するかどうかをチェックするという点ではこの上なくいいタイミングともいえ、本格的な戦争に発展するかどうかは別としても緊張状態はここから先のほうがかなり残されている感があります。
FX市場としてはこうした問題もあまり軽視しない方が相場で怪我をしないためには重要です。
米国の株式相場に買い疲れ感がみられる
夏休の最盛期ですから、動かないのは当たり前なのですが、米国の株式相場はさすがに買い疲れ感がみえており、調整はまだこれからになるのかも知れません。
大きな事件、材料がなければ1000ドル規模の下落ということにはならなさそうですが、どうも妙に楽観視して北朝鮮問題もちょっと調整したらはい終了といった雰囲気は2000年の「ITバブル」の末期に非常に似た雰囲気を醸し出しています。
結局米国の株式市場は新陳代謝が激しく若手によって仕切られていることから、2000年などという事例はもはや17年も前の話であり、あまり注意事項としてワークしていないように見えます。
この怖いもの知らずの連中が取り回す相場がまた「新たな暴落を結果的に作り出すのではないか」と、かなり心配になりますが、本来材料視すべきネタがほとんど材料として見られていない雰囲気がなんとも気になります。
値幅調整が出たほうが9月以降の相場の健全性は保たれることになると思うのですが、ほとんど調整もないままに果たしてこのまま秋のFX相場に突入して大丈夫なのかが注目されます。
FX市場は「ショートカバー」の傷がいえるまでここ数日は大きな動きにはならないと思われますが、週があければ「ジャクソンホール」の内容も気になる時期にさしかかりますから、新たなテーマが持ち込まれるまでは日柄調整となる可能性も考えておくべきでしょう。
(この記事を書いた人:今市太郎)