Margin Dept(マージンデット)という言葉をご存知でしょうか?日本語でいいますと証拠金債務というのですが、用はレバレッジをかけて取引をしている額の総計のことをいい、NYSE(ニューヨーク証券取引所)が定期的に公表している株式のマージンデットのことを言います。
平たく言えば投資家が株を購入するために、金融機関からどれだけ金を借りているのかという借金の度合いを示したものです。
このマージンデットについてはマークファーバーなども指摘をし始めていますが、実は足元の相場では至上最大のマージンデットが形成されているのです。生データはこちらをご覧いただくといいと思います。士http://www.nyxdata.com/nysedata/asp/factbook/viewer_edition.asp?mode=tables&key=50&category=8
暴落の前に膨れ上がるのがマージンデットの特徴
このマージンデットがなぜ注目されるかといいますと、これまで大きな暴落の直前にマージンデットが最高値をつけており、2000年にしても2008年にしてもその数ヵ月後に大暴落が起きてはマージンデットは縮小するという動きを繰り返しているのです。
Data dshort.com
上のチャートを見ていただくとお分かりのとおり、足元のマージンデットのレベルは「NYSE」も「S&P50」もはるかに10年前の「
サブプライムローン」の時期を超えており、過去の暴落のタイミングから見ますともうかなり危ないところにさしかかっていることがわかります。
ここでも7年から10年で大暴落が起きていることから先行きが不安視されはじめているのです。実はマージンデットが膨れ上がったのは2014年段階でもかなり心配されたものでしたが、いまや完全にその世界を突き抜けて上昇してしまっている状況です。
金利の上昇局面ではますますよろしくない傾向に
マージンデットが大きく上昇している最中に米国では「FRB」が粛々と金利を上昇させているわけですから、この典型的な借金経済がこれまでのまま維持できるとは到底思えない状況で、これだけみていても相当まずいところにさしかかってきていることが理解できます。
マージンデットと株価の暴落が連動するのにはかなり明確な理由が存在するといいます。ひとつは市場が総楽観で借金してでも株を買わなくてはいけないという妙な雰囲気が醸成されることが大きな原因です。
また株価が上昇したまま下がらないとなるともっと上がるのではないかと日常的に株の取引を行っていない人間まで参加してくるのでレバレッジをあげた取引が増えることもその原因としてあげられます。
しかし証拠金債務取引ですから、ひとたび相場が下落しはじめますと、こうした市場参加者はとたんに慌て始めることになりますから、狼狽売りがはじまり、投げが投げを呼ぶというネガティブな連鎖が始まることになるわけです。
悪いことに最近ではこの流れに「
アルゴリズム」まで参加することになりますから、悪意をもった売買でなくても必要以上に「
オーバーシュート」気味の下落を演じることになってしまいます。
残念ながらいつ暴落するかは依然としてわからない
過去の事例を見ていますと、このマージンデットが減少しはじめてから1年近くたって爆発的な暴落が起きていますので、まずはピークアウトするところからリスクが高まることになるものと思われますが、確実に何ヶ月後とはいえないのが玉に瑕で今いえるのは相当危ないところにさしかかっているということだけです。
しかも利上げの局面というおまけ付になってきていますから、状況はさらによろしくないといえそうです。さらに「
FRB」が「
バランスシート」を縮小しはじめ市場から過剰流動性資金が消え始めると、ますますリスクが高くなりそうです。
「
FRB」の「
イエレン議長」はゆっくり利上げし資産縮小をすればなんら問題はないを連呼していますが、本当にそうなのかどうかはかなり怪しくなってきているといえそうです。
こうした兆候は大地震の前になまずが跳ねたとか野鳥が大騒ぎしたという話よりはもう少し可能性の高いものではないかと思います。この夏に大きな下落が起こるかどうかはまったくわかりませんが、相当注意をしておいて間違いはないのではないでしょうか?