週明け、どうしても上値の重いドル円はロンドンタイムに110.624円まで下押ししたあと、債券金利の上昇により一旦は111円台を回復してNYタイムの取り引きを終了しています。
チャートの形状から言えばさらに下がりそうな嫌な感じになっており、どこまで下押しをするかがもうひとつよくわからないだけに迂闊に下値を拾うのはどうしてもためらわれる状況ですが、やはり先行きを占う上で非常に重要になってきているのが米国の10年債利回りの推移で、ドル円相場はかなりこの動きにシンクロしてい動いていることがよくわかります。
米債イールドカーブに変化が出始めている
Data FT
直近の米債のイールドカーブを見ていますと、やはり少しずつ変化が現れ始めている状況が見受けられます。
まずごらんいただくとわかるように短期金利が徐々に持ち上がりはじめてきており、まだ2年債金利はそれほど上昇していませんが、10年債金利とほぼ同じような状況になりはじめますと、いよいよ景気後退のサインと見てさしつかえない状態になりそうです。
一般的に短期金利は「FRB」の利上げの影響がそのままでやすいとされていますが、長期金利は市場が決定していくものですから、イールドカーブのフラット化は市場が先行きを示唆するものであるということが考えられます。
過去の大暴落の前には一旦このイールドカーブがフラット化しさらに短期金利が長期金利を上回るというねじれ状態を示現したあとに大きな下落がやってきていますから、やはりこの動きはかなり重要であるということができそうです。
フラット化とは別に10年債利回りが3%に近づくのも危険
イールドカーブの動きもさることながら、長期金利が3%を超え始めるのも危険な兆候といえます。
いまのところ10年債金利は上昇したといってもそれほど激しいものにはなっていませんが、欧州債の金利が上昇しはじめると、それに連動した動きになることが予想されることから、すんなり上昇を始めることも考えられます。
米国の金融市場は典型的なレバレッジ市場になっており、借金で市場が回っていることだけは間違いありませんから金利の上昇がプラスに働くはずはなく、とくに株価が我慢できない状態に陥ればいきなり相場がどすんと下落する可能性が高まります。
ドル円に関して言えば10年債が上昇すればそれについて上昇しますが、どこかのタイミングで株価が大幅に崩れればそれについていくというかなり難しい動きをすることが考えられます。
今のところ為替相場の注目点はドル円よりもあきらかにユーロドルに移っていますので、特別な仕掛け売買がでる雰囲気ではありません。
しかし「インターバンク」はポジションの偏りをかなり意識していますから、さらに下押しすればストップロスが出そうな相場であることはだれが見ても感じるもので上昇を再開するためにもロングの投げがもう少しでないことには上がらなさそうな雰囲気であることもまた事実です。
どうやら本邦の個人投資家もこの下げでかなり買い下がった向きが多かったようで、こうした個人投資家は損切りをほとんど入れないため、高値のポジションを塩漬けして相場の回復を待っている可能性がきわめて高くなっているようです。
米債券市場はFRBが金利を上げられないと見ている
足元の債券市場の動きを見ていますと、明らかに「FRB」がここから簡単に金利を追加で上げられないと見ていることは間違いないようで、果たしてこの強気な視点が間違いないのかどうかがドル円のここからの動きにもかなり関係してくることになりそうです。
ポジションの偏りが修正しない以上大きく「ショートカバー」が出る状況にはなく、目線は戻り売り主体となりそうですが、債券金利が上昇し始めるようであれば、売りは一旦終了させて様子を見ることが適切な判断となりそうです。
ここからはとにかくこの金利状況をつねにチェックしながら整合性のある取り引きを心がけることが重要になります。
(この記事を書いた人:今市太郎)