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トランプ政権をめぐる疑惑や政権内の揉め事らしきものはとにかく後を絶たず、一旦落ちついてもまた次から次へと材料が飛び出してはドル円相場を下落させる材料になっています。
息子がロシア関連のメールを開示したといえば値が下がり、報道官がたった半年あまりで辞任したといえばまた値が下がる始末です。
確かにこうした押し目で買えば多少は戻るかもしれないと思われるような場面でも、そのネタがトランプ本人と周辺、政権要人にかかわるものであるとなると買い下がっても本当に大丈夫なのかかなり疑心暗鬼にならざるを得ない状況です。今回はこのテーマからドル円取引を考えてみたいと思います。
日米金利差からドル円が大きく上昇することはもはやありえない
まず、発想を一旦ニュートラルに切り替えなくてはならないのは、日米金利差でドル円が上昇するかどうかという基本的な問題です。
これはトランプとは関係のない要素ですが、足元では一応米国の10年債が上昇すればドル円も上昇するようになっていますから、金利がドル円相場にかかわっていることは間違いありません。
しかし2015年末以降すでに4回の利上げで1%の政策金利になった段階の足元のドル円を考えて見ますと、決してそれを材料にして大きく上昇したわけではないのが現実で、今後何回利上げをしていくことになるのかはまったくわかりませんが、まずこの部分からドル円は上昇と誤解していると大きく相場を見誤る可能性がありそうです。
トランプ政策はドル高につながるという見方も間違い
トランプ政権の誕生決定から発足まで、非常にドル円が上昇しましたし、その状況に特別この政権がけん制をしなかったことから、トランプ政策のもとではドル円は上昇しやすいといった見方をするアナリストやエコノミストが存在しますが、トランプ政権が実際に誕生して6ヶ月あまりが経過してみてもまともに実行される政策は登場しておらず、そもそもトランプ政権下でドル円が上昇する材料が非常に乏しい点が気にかかります。
また今後減税や大幅な財政出動などドル円が上昇しやすい材料が登場するとしてもこの政権がドル円の上昇を野放しにするはずは全くなく、むしろことごとく政策がうまくいかない場合には通商面で日本を叩いてくることはほぼ間違いないものと思われます。
ドル安円安だからトランプ政権から文句は言われないという視点も全く当てはまらないともいえ、秋口からは具体的に日本いじめがスタートするのではないでしょうか。
超短期を除けばドル円は買いではない可能性大
こうした二つの基本的なエレメントの上で相場が上下に動いているわけですが、トランプ政権は学者や有識者を集めて既に次なるプラザ合意の可能性を探る会議をかなり頻繁に開催しているとの話が伝わり始めており、現実にこうした会議が開催されているのは事実のようです。
つまりどこかでドルの価値を大きく下げることで国がかかえる借金を棒引きにしながらも表向きには国際経済をたてにして主要国のドル安協調を強要してくる可能性はかなり高くなってきているようです。
そこに政権の抱える問題がつぎからつぎへと登場してはその都度ドル円は下落の危機にさらされるわけですから、長期的に見てドル円は買う通貨ではないのではないかといいう疑問がかなり強く湧き出てくる状況です。
もちろんスキャルピングやデイトレレベルであれば儲かりそうなときに買っても売っても問題はありませんが、長期的視点に立ったときに下げたら買いと考えるのが適切なのかどうかはかなり疑問になりはじめています。
むしろ上昇したときが最良の売り場になっていくと考えるほうが、この政権下におけるドル円のオペレーションとしては正しい気がしてなりません。
気がつけば安定していたはずの安倍政権の支持率のほうが明らかにトランプ政権よりも低い状況に陥っています。
この安倍政権を見ていますと何が嘘で何が本当かははっきりしなくても、連日のように疑惑の問題が次から次へと示現してそのノイズレベルが高まれば国民の信頼が大きく損なわれガバナンスが低下するのは当たり前の話で、ご本人がいくら気にしないといってもトランプもまったく同様の状況下に置かれていることは間違いないものと思われます。
弾劾など簡単にはされるものではないというのも事実だろうとは思いますが、このままの調子でいくとどこかで大きくドル円が下抜ける決定的な問題も登場しそうで、どうもドル円を買いから入る気がしなくなってきているのが正直なところです。
今後唯一絶好の買い場がやってくるとすれば、それはまさに暴落の直後だけではないかと思い始めている今日この頃です。
（この記事を書いた人：今市太郎）
