6月の米国「FOMC」以降相場はあらかじめ想定した方向に動きそうになりましたが、どうも予想のようには動きません。7月からの自分の想定と実際の相場がどう異なっているのかについて、珍しく反省の意味をこめて整理してみることにしました。
投資助言業ではないので「いつにいくらになる」といった話はこのコラムではできるだけ避けてきましたが、さすがにここから一体相場はどうなるのかとかなり悩んでいる方も多いことと思いますので、6月「FOMC」以降の相場の事前想定と実際の結果とのフィット&ギャップ分析をしてみたいと思います。
都合4回目の利上げで相場に変化が出ると予測しつつもドル円買い
皆さんもよく思い出していただきたいと思いますが、6月15日朝3時大方の予想通り利上げに踏み切った「FOMC」の辺りのドル円相場はなんと108円台の後半をうろちょろしておりました。その後109円台後半まで上昇し、一応は金利が上昇する期待を市場にのぞかせることとなったわけです。
ドル円は6月末時点で112.600円レベルまで上昇しましたから、その中身としてはいろいろなものが影響はしましたが、少なくとも金利上昇から一定レベルまでは上方向を試すことになるのではないかという期待は強くもっていたわけです。
そして月が替わり7月に入って「雇用統計」の結果はいまひとつ明確な方向感を与えることはありませんでしたが、無理して短期投機筋が買いあがったからやりすぎ感はあったものの一瞬114円台をつけ、最後に反落して113円台後半で引けています。
そして先週再度114円台を試し始めたことから、欧州債券に影響を受けて上昇をしはじめた米国債券金利の上昇に合わせて「ドル円はもう少し上まで試すことになるのではないか?」と想定してしまったわけです。
7月後半から8月にかけてこのまま相場は上昇を継続できないであろうと意識しつつも、足元の相場では売ってもまともに下がらないわけですから、どうしても押し目買いを目指してしまうという結果になってしまいました。
投機筋が絡んでいる相場でユーロ円もユーロドルも上昇していることはわかっていましたから「オーバーシュート気味に115円を超えるところまでいったところで7月終了となり、今度は逆に高値をいかに売るかを考える時期に入ると思っていたわけです。
逃げ足の速い投機筋の買いに翻弄され結果はいまいち
114円台ならもう少し上までトライするのではないかと思ったことから、そこまでは押し目買いでそれなりの利益をとることができましたが、114.500円レベルでおしまいとは思わなかったことから戻り売りは結局できておりません。
112円台もかなり底堅い意識があったことからスキャルピングでは戻らなくなってしまった113.500円レベルからの売りは何度も行いましたが、14日の米国の経済指標の悪化では何もとることができず、112.500円以下で買っては見ましたが、大してとれたわけでもなく想像以上に下げた相場を見てあきれ果てた週末ということになりました。
ドル自体はほかの通貨ペアで考えますともっと売られている状況ですから、ドル円はこれでもかなり特別といえますが、一時的に上昇気配だった債券金利がまたまた低迷を始めているところを見ると、ここから間たすぐに切り返すかどうかはかなり疑問です。
17日の週「ECB理事会」で量的緩和縮小に関する何かのコメントが飛び出すとさらにドルは弱くなりますから、ドル円が単純にユーロ円だけに引っ張られて上がるかどうかは相当???な状況になってきているといえます。
ただ、欧州の債券金利は「ECB」の決定にかなりビビッドに反応しますから欧州に起因して米国債の金利が上昇する可能性は残っているといえます。
米国金利の上昇とイールドカーブのフラット化が株式相場に大きな悪影響を与えて相場が大きく調整するのではないかという基本シナリオは崩していませんが、ドル円の下値では順張りでついていき、最高値レベルで売りに転換して往復とってやろうというかなり都合のいい発想はなかなか全面的には成就できす、再度ドル円が上昇しはじめたところでこのシナリオがワークするかどうかを検証しながら再エントリーしてみたいと思います。
債券金利が3%を超えるレベルまで上昇しないとなかなか株式市場のテーパータントラムは発生しないだけに金利が全然上昇しないというまさかの事態が起きた場合、一体どう相場を考えるのかについてはもう一度検討する必要があることは事実ですが、相場下落兆候の外堀は予想以上に埋まってきており、タイミングこそ明確には判断できないものの、このシナリオの流れは必ずどこかで登場すると考えているところです。まあ思い込みは禁物ではありますが・・
(この記事を書いた人:今市太郎)