「曲がり屋にむかえ」、とは先物相場での鉄則のような格言になりますが、今では、私がそのような存在になる。長期的に円高であるのは、間違いないことだとは思いますが、この円安はあまり理解ができない。もちろん、日本経済がアメリカの経済よりも若干よいということが円安の背景であることは間違いない。
こういう6月、7月にマーケットが盛り上がっているときは秋には全く相場が出ないのは「アノマリー」として認識をしています。その理由はさんざん、今まで書いてきた通りになります。
一番わかりやすいテクニカル
みなさんにはトレンドを知りたいのであれば、4時間足に単純移動平均30を引けばかんたんにわかると今までさんざん書いてきました。6月の中旬から4時間足の30はアップトレンドをひいており、買いトレンドであることは間違いないようもない事実になります。
そして、30を下回りそうなときに円高、円高と私は騒いだのです。今回も、現状、ローソクと30は接近しており、これを下抜けすれば、一度、戻り高値があってから、ダウントレンド確定になると思います。
7月上旬にあと二週間くらいかかる、と書いたと思いますし、きのうはジャクソンホールがきっかけになるのではないか、と書いています。きのうは私の大嫌いな尾河真樹が目先は円安で119円を目指す動きなんて連呼していたので円高であろうと思っていたが、その通りになりました。
先週は目先はドル安と連呼していたので、円安になるだろうと思っていたらその通りになった。ここまで外すのは基本的なことがわかっていない証拠でしょう。
きのうに限っていえば、4時間足は相当、煮詰まっているのになぜ、円安というのか皆目見当もつかない、というのが感想です。曲がり屋である私が、曲がり屋をバカにするという、弱者同士のじゃれあいなのですが、曲がり屋に向かえというのはやはり鉄則のようです。
雇用統計後の動き
先週の「雇用統計」は、いったん上昇して、結果が良かったので、円高になるだろう、ということで、円高に向かったのですが、113.5円を叩ききれず、上伸しました。
その際、私も適当に暗算して113.96円で売ったのですが、正確には114.16になります。これは、113.5円を叩いても、叩いても叩ききれず、売り方が損切りをしたから戻ったのです。
その背景というのは日本銀行による長期国債の買いオペであろうというのは散々、お話をしたと思います。為替の決定要因というのはドルの強さによるものが第一位の要因であり、第二位は需給という話もしたと思います。
株式相場では、需給に勝る要因はないと解説されますが、実際、通貨ですとか、金、原油などの商品相場は、本当の需給なんかわかるわけがありませんから、ドルの強弱によって、マーケットの価格が決定することがほとんどです。
そのドルが人民元に対して弱いのでドル安人民元高になり、人民元高なら円安になるのは自明の理であり、それは時間経過とともに、人民元安円高になるのも今までのデータからも明らかなことになります。
話が逸れましたが、113.5円で売りたたいた売り方が損切りする場所、日本風に言えば、踏む、入れる場所は、時と場合によって違うのですが、その値段から0.5パーセント上のところ、つまり114.16円になるのです。
「踏んだら、終い」の格言もあるように上昇相場というのは最終的には踏み上げ相場によって最後の怒涛の上昇がくるものです。その目安というのは、たいていの場合、売りこんだ場所から0.5パーセントになります。
これがバブル期であれば2パーセントとか3パーセントになるのです。結局、114.16では止まりませんでしたが、その辺を値段の目安にして計画的売っていけばいいということになります。
アメリカ長期債の金利低下
今、これを書いているのは、日本時間の朝9時になります。この時間、アメリカ長期債の商いは非常に薄く、値段が一方的に動くことはあまりないのですが、しかもサマーバケーション入りで非常に薄い商いになるのが、長期債の値段が上伸しています。
金利は低下する。この金利低下の背景は、雇用統計で、賃金の上昇が抑制されたということが要因になると思います。
つまり、消費者が消費を抑える行動が鮮明になっていますので、当然、資金需要が減るという思惑から、金利が低下をするという循環になります。長期債が上昇すれば、円高、というのはここ半年のセオリーです。今回もまたたっぷり売ってしまって大丈夫なのだろうか、と不安がよぎります。
(この記事を書いた人:角野 實)