やらなくてもいい総選挙を前倒しでしてみたら結局負けてしまった保守党のメイ首相ですが、なんとか連立を維持することで続投はできているものの、党内では明確なメイ降ろしも顕在化しているようで、外がわから見ている以上に状況は深刻化しているようです。
とくにオワコン化しつつあるメイ首相では世論をまとめていかれないという危惧の念はかなり高まっているようで、鋼鉄の女もぼっきり根元から折れかねないところにさしかかっているようです。
ソフトBREXITニーズが高まれば完全におよびでなくなるメイ首相
困った問題なのは、労働党が躍進したこともあって、ここへ来てまたしてもソフト「BREXIT」に対するニーズが高まりつつあることです。そもそも妙に頭の悪かったキャメロン前首相がなんの定義もしないまま「BREXIT」の可否をもとめる投票をすることだけ決めてしまったことから、「BREXIT」の詳細定義がいまもってあいまいなまま進行している点はこの国に大きな不幸をもたらしているといえます。
ハード「BREXIT」はEU離脱をベースにしてのあくまでメイ首相の考え方の集約ですから、選挙に負けてしまうとまずこの部分から支持がとれているのかどうか怪しくなってくるわけで、ソフト志向が強まればメイ首相はお役御免の可能性が高まることになるわけです。
ただ、英国側にハードかソフトかの選択肢がないのも事実
英国内では誰が交渉するかでハード「BREXIT」になるかソフト「BREXIT」になるかといった話が横行しているようですが、実際のところ英国側にその選択肢がないのもまた事実でありまして、EU側は一切英国に良心的な譲歩を示すつもりがないのが現実です。
また法外ともいえる離脱に伴う制裁金の支払いも大問題で、英国は踏み倒すと見るむきが多いなかではそもそもハード「BREXIT」で典型的な喧嘩別れになる可能性も高くなっています。
こうなると残されているのはまさかの離脱撤回という道とむちゃくちゃで強引な離脱だけではないかという味方もいまさら強まっている状況です。
離脱撤回などあるのかという気もしますが、実はこれがいまもっとも実利的な解決法なのではないかという話もではじめてきており、まさかの先のさらなるまさかは元の鞘に戻るということなのかも知れません。
ポンドの行く末は前途多難か?
こうなると一番気になるのがポンドの行方ということになります。まあまともな発想でいいますと、離脱撤回などというウルトラCが登場すれば、ポンドは驚くほど買戻しが効くことになります。
しかし、さすがにいまからこの何が本当の話になるかわからないEU離脱の結末に向けてポンドを買い向かっていくわけにもいかないわけですが、そんな驚くべきシナリオも依然としてくすぶり続けているということは知っておくべき状況のようです。
ただし国民の意識調査をしますとすでに離脱自体は織り込んでしまったようでいまさら国民投票再実施という動きもほとんど見られないようですから、逆に離脱やめますと政権が言い出したときに支持が得られるのかどうかも心配になってきます。
米国の大統領戦もそうでしたが、政治ネタはFXではなかなか先が見通せないだけに儲からないことが多く、想定外のことが起きると損失に繋がるリスクが非常に高まることからかなり扱いにくい材料であることは事実です。
とくに前例のないものについては相場の動きも予想外になることが多いため、あまり積極的に関与したいとは思えませんが、最近の動きが少ない為替の世界の中にあっては流れにのれば大きな利益にありつけるポンドだけに、なんとか先行きを見極められないかと思うのもよくわかりますが、実際はかなり難しい問題があることを認識しなくてはならなさそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)