このコラムでもずっと相場の先行きが危ないのではないかと申し上げできましたが、いよいよ米国の株式の様子がおかしくなりつつあります。
まずなにも大きな材料がないにもかかわらずNYダウ、「NASDAQ」ともに調整が始まっており、昨晩はざら場で「NASDAQ」は2%超の調整まででる勢いで、一旦は下げを戻す形で終わっていますが、ここからの動きがどうなるのかが非常に注目されるところに差し掛かってきているといえます。
暴落の前の予兆的動きか
今回の下げがこの先どこまで続くことになるかですが、ここで下げが加速したとしてもいきなり暴落にはならない可能性が高いようです。
ひとつはまだ市場に継続期待が残っているからで、いったん調整してまた戻りを試しながら、やはり上昇が覚束なくなって大きな下落につながる可能性を指摘する声が多いようです。
しかし多少の下げといってもドル円の為替でいえば1円や2円の下落は簡単に取れる可能性がありますから、この下落相場をどう狙ううかは為替取引ではかなり重要になります。
すでに昨日でも113円に近いところまであげた後一貫して下がり続けたドル円はなんと1円10銭近い下落をしていますから、日々の下落トレードといっても毎日結構大きな金額を稼げる機会が到来しているともいえるのです。
ショートが溜まりすぎるとその都度ショートカバーもでやすい
ひとつ気をつけるべきなのは、下げ相場でもあまりにもショートがたまりすぎますと、暴落でない限りはいったんどこかで止められてまた「ショートカバー」がでるということです。
これは致し方ない動きとも言えるもので、本当に下がらなくなったらそのたびにしっかりとリカクして入りなおすといったやり方が必要になりそうです。
その一方で、113円台すれすれまであがっている相場ですから、まだ上昇期待はかなり強く、ポジションを投げずに戻りを待っている投資家が相当いるように見えますので、足元で言えば112.300円から上のドル円には相当なロングが依然滞留状態で、「ショートカバー」といってもそれを超えるレベルにはならないことも考えておかなくてはなりません。
29日のNYタイムを見ていても、株価が大きく下落しはじめますと債券金利が下がらなくても完全にお構いなしでドル円はどんどん下落していきますから、株の暴落や大幅下落は金利と関係ないロジックで動いてしまうという点には相当理解が必要になります。
この調整がいつまでどの位続くかは神のみぞ知る世界
ただ、この調整についてはいつまでどのレベルまで続くかはさすがにはっきりわからないところがあります。
とはいうものの想像以上に「オーバーシュート」気味に動きやすいのは市場が総楽観でほとんど下落に対してヘッジなどの準備ができていないことが逆に起因して、市場参加者がパニックを起こし始めてしまいますと、足元の下落といえどもはるかに想像を超えて大きく下落が加速する可能性がある点にも注意すべきです。
よく200日移動平均線はほぼここ1年の相場のコストであるといわれますが、状況によってははるかにそれよりも手前のコストラインでパニックから投げ相場がスタートすることが考えられ、しかも「アルゴリズム」がその動きに輪をかけるリスクがあることから、結果想像以上の暴落になることはありえる相場といえるのです。
したがってここから数日、来週にかけてはどこが底になって落ち着くのかを見極める必要があるものと思われます。底値からは一定の戻りも期待できることと思われますが、それがたいしたレベルではないまま停滞するとさらにもう一段ドスンとくる時期が7月中か8月にはやってくるのではないでしょうか。
この時期を見極めるのもなかなか難しいですが、市場参加者が減る時期はとくにリスクが高まると考えるべきでしょう。とにかく下落の局面では利益はとっても損失をかかえることがないように細心の注意を払うことが必要です。
(この記事を書いた人:今市太郎)