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テクニカル分析は暴落を予見できるのか?

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この7月から8月にかけては相場下落の「アノマリー」の特異月といってもいいほど下押し材料が満載になりつつあり、この「アノマリー」を信じるなら到底買いでポジションを持ち続けるわけにはいかない不気味な状況ですが、そうかと言っまるでお告げを信じるかのように四六時中売り持ちをして我慢するというのもレバレッジをかけた証拠金取引にとっては相当な苦痛となることは間違いありません。
こうなるとテクニカルで暴落タイミングが見つけられるようになればもっとも助かることになるのですが、果たしてこのテクニカルで大幅な下落タイミングを的中させることができるのでしょうか?今回はその点についてフォーカスしてみたいと思います。

標本空間が常に変化するFXの世界

FXの場合一週間ずっと111円近辺でドル円が推移していて膠着状態といってもその間にポジションを保有する投資家がかなり入れ替わることになるため、確率の世界でいうところの標本空間が変化してしまうことが先行きを占う上でも大きな障害になっていることは間違いありません。

具体的なテクニカルチャートではオシレータ系のチャートが下向きになったりしてどうも様子がおかしいということは気づくことができるのですが、明日暴落するといったはっきりとした示唆は相変わらず得られないのが現実の問題です。

アノマリーのほうが確率が高いことも

さて、それでは「アノマリー」は役に立つのかという話が浮上してきますが、「満月になると円高だ」といったほとんどどういう関連性があってそうなるのかまったく不明な話を別にすれば、8月になると米国の株価が低迷するとか、米国の大統領が代わって夏になると相場が大きく下押しするというような話は上述の標本空間が変化する理由から確率論で正確には表せないものの、なんらかの投資家行動を総合的に示唆している可能性は残されているといえます。

とくに事後にカウントしてみた確率が75%や80%になるとすれば人間が気づかないファクターが確実に存在する可能性があることだけは間違いないようで、そこには何か明確な理由が存在しているとも考えられることになります。

統計的に起こりえないことが起きるのが相場の習い

90年代後半、ノーベル賞学者などが結集してスタートしたLTCM(Long-term Capital Management)はあらゆる事象の確率を計算しまくり、発生確率の低い事象をすべて排除してポジションをとってみたところ、「アジア通貨危機」やロシア財政危機が起きるのをまったく予期できずにあっさり破綻することとなてしまいました。

つまり相場の先行きを見通すのは頭がいいことはほとんど関係ないことも立証されてしまっているわけで、人為的な要素が重なって起きることであるにも係わらず暴落はほとんど予知できないのが足元の状況となってしまっています。

プライスアクションからなんか相場の雰囲気はわかるもの

ここ数年、暴落のタイミングにFXのチャートをつぶさに眺める機会に恵まれることができました。

2015年1月の「スイス中銀ショック」もそうですし、同年8月のNYタイム入り直前の「中国人民元切り下げ」を起因とする暴落、直近では2016年6月の「BREXIT」投票もそうでした。
その瞬間自体は「アルゴリズム」が連鎖的に動くことも手伝ってか、まるで急に底が抜けたかのように相場は一直線に落ちることになりあるタイミングからチャートがうまく表示されなくなり、相場全体で何が起きたのかわからずに呆然とする時間が続くのを目の当たりにすることができました。
正直な感想でいいますとこればかりは大地震の発生よりもいきなり始まる感じがしてものの数秒でとんでもない状況に陥り、裁量取引ではとてもではないですが対応はできないことを痛感させられた次第です。
ただ、ひとつだけわかるのはプライスアクションを見続けていると「BREXIT」のような投票は結果ですから話は別ですが、それ以外の暴落はいよいよ上昇しなくなったとか上方向にほとんど動かなくなることが見受けられ、さすがに様子がおかしい感じは相当鈍感なトレーダーでもある程度は感じられることです。2015年8月の暴落のときは夏でしたのでたまたまドル円をショートにしていたので漁夫の利のように儲かりましたが、あえていうなら「アノマリー」のほうに乗ってみたというのが正直なところでした。
この夏相場にどう向き合うかは個人的にも大きな課題になりつつありますが、それでも「ファンダメンタルズ」だけでは勝負できないのがFXの世界ですから、少しでもチャートから兆候を確認して少なくともリスクだけは回避できないかと思い始めています。
いつという時間は特定できませんが、長く相場を見ていますとなんだかおかしいという違和感だけはかろうじて感じることができるようになるものです。
(この記事を書いた人:今市太郎
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