9日のNY市場で大型ハイテク株がなんの材料もないままに急落する場面がありました。
結局引けではある程度戻しましたが、フェイスブック、アマゾン、アップル、マイクロソフト、アルファベットなどごく一握りの銘柄に集中している状況を考えますと、今後こうした大型ハイテク株がずるずる崩れ始めるといよいよ米国の無闇な株式相場のじり高傾向にもいよいよおしまいがやってくる可能性が高く、今週の動きを見守りたいところです。
また長期金利は若干ではありますが出来高を伴って上昇しはじめています。どうやら機関投資家が長期債を利食いしはじめているとの見方も広がっています。
「CFTC」の大口投機玉の買いこしポジションをみていますと、あまりにも買われすぎている状況ですから、今週このあたりのポジション整理がどのように進むのかも注目されるところです。
「FOMC」での利上げが確実なだけに市場が様々な商品の利益確定売りや反対売買を進めることになるとすればこの週の前半の動きは非常に気になります。
Data CFTC
今週の米国株価に大注目
Data Bloomberg
FANGとよばれる米国の大型IT株がここからも軒並み崩れだすかどうかが今週の注目点となりそうですが、そもそも株バブルの終焉前には金融株が暴騰するのがお決まりのパターンであるにもかかわらず、今回はトランプ相場の最初にゴールドマンサックスなどの株が跳ねてからその後停滞を続けており、毎回のバブル相場とは異なる終焉が待ち構えている可能性も残されています。
株式市場関係者は日米ともにまだ大丈夫と強気に見ている人たちが多いようですが、微妙な変化が先行きの兆候を示していることが多いだけに、ここからはしっかりと変化を捉えていく必要がありそうです。
ドル円の市場見通しは上昇・下落半分半分
ドル円は先週4月にできた窓をしっかり埋めましたから、一旦下値は堅くなりそうな気配ではありますが、「FOMC」前に相場が戻しても111円台はかなり重そうな気配でもあり、米国債の長期金利が上昇しないかぎりほとんどドル円の上昇も見込めない厳しい状況にあります。
ここから米国の債券が大きく売り込まれていくような事態にならないと金利の上昇によるドル円の上昇は見込めないところにあります。
市場では「FOMC」を通過してドル円が上昇するという見通しと逆に材料出尽くしで下落といった悲観的な見通しの両方が登場していますが、要するに断定はできないということで、とにかく15日まで少し様子を見ることになりそうです。
ただ、冒頭にも書きましたように米国のハイテク株がこの段階からぐらつき始めると7月を待たずに米国の株価が調整局面入りする可能性は捨てきれず、株式、債券といった相場の動向をしっかり注視することが重要になってきます。
現状では明確な兆候とまでは言い切れませんが、少しずつ相場に変化が現れていることは間違いないようで、今週一週間の各市場の相場展開は非常に大切な情報になることが予想されます。
米国の株式市場関係者はもはやバリュエーション的に米国株式を買うことはできないと理解はしているものの、大きな下げまでにもうひと相場ありそうであることを期待して依然として株式を買い支えている状況で、楽観的な見方が大勢を占めているだけにひとたびリスクオフから売りが始まると一気に売りが殺到して必要以上に相場が下落し、それがさらなる下落を加速する負のスパイラルにつながるリスクを抱えています。
個人的には今週の「FOMC」での利上げがこうしたまずい状況の導火線に火をつけることになるのではないかと非常に心配しています。
取り越し苦労であれば問題はありませんが、本邦市場で強気な発言を繰り返す専門家の顔ぶれを見るたびにその心配な気分はさらに高まりつつあります。
(この記事を書いた人:今市太郎)