先週8日、Super Thursdayで市場がピリピリしはじめている東京タイムに突如「ブルームバーグ」が出所不明の怪記事をネットで公表し、瞬間的にドル円は60銭近く下落する場面がありました。
今やヘッドラインに踊るテキスト報道をいち早く読み込んで反応するのは「アルゴリズム」であるだけに、こうした出所のはっきりしないきわめてフェイクニュースを垂れ流す報道機関の存在は迷惑千万であり、非常に不快な内容となったことだけは確かです。
毎回飛び出す関係者によるとのフェイク報道
金融市場ではこの日高記者なる人物はフェイクニュース垂れ流しの常習犯として非常に有名な存在ですが、毎回出てくるのが関係者によるという嘘とも本当ともとれるネタであり、これが出るたびに市場では関係者って誰?という疑問が渦巻くことになります。
今回もまったく同じ手法による報道です。⇒ 日銀:出口論は「時期尚早」から「説明重視」に-関係者
このやり口はすでに3回、4回と行われており、まともに信じるものはいなくなりつつありますが、なにぶん「アルゴリズム」の反応には多くの人が身構えることになるわけで、本当のスクープならまだしも毎回他社が追随しない独自のフェイクニュースとなってしまっているのが実に残念で迷惑な状況になりつつあります。
すでに常習犯の存在
日高記者が書いた原稿にともなう大混乱は1年ほど前に公開された内容でもとんでもないことになった前科があります。
2016年4月22日、「日銀:金融機関への貸し出しにもマイナス金利を検討-関係者」という記事が飛び出して、相場は日銀による緩和期待から株高円安が猛烈に進行し、結局日銀の政策発表で何も出なかったことからすさまじい下落を示現するようになったのは記憶に新しいところです。
ここでもキーワードとして登場したのが関係者で、関係者って誰よ?という記事が常に彼の原稿にはつきまとう状況となっています。
この日高記者なる人物、1963年福岡県生まれ。一橋大学社会学部卒業で共同通信を経て現職となっているようで、『論争・デフレを超える 31人の提言 中公新書ラクレ』といった書籍も出版しております。
完全な馬鹿ではないようですが本当のことを取材しニュースにして市場を動かすならまだしも、毎回ほとんど妄想に近い記事を繰り出しては市場に混乱をもたらすのはかなり悪質な存在であり、多くの市場関係者から不評を買うきわめて異質な人物といえそうです。
相場は何に反応してるか即座にはわからない
ネットの普及により個人投資家もかなり情報収集はリアルタイム化が進んでいますが、インターバンクディーラーなども見ているヘッドラインを確認して、これがどうやら下落の材料らしいと判断するまでには10秒や20秒ではすまないタイムラグがありますから、瞬間に為替相場に動きがでた時にはその材料が何かを特定するのは結構難しい状況にあります。
ただ、要人発言などの場合一回だけ突拍子もなく吹き上げたり下げたりすることが多いので、かなりリスキーではありますが最高値とどん底で反対売買をしてみますと一回は利益を確保することもできますので、経済指標の発表が重なる時間帯でないかぎり一度は試してみる価値がありそうです。
足元では世界的にフェイクニュースの存在がかな問題化していますが、公共的なメディアを語るところの記者が事実に基づかないような憶測記事を連発して市場に混乱を招くのは、とくに金融市場の場合人のお金がかかわるだけに非常に問題なのではないかと強く憤る次第です。
「ブルームバーグ」ともあろうメディアがどうして東京ではこうしたやり方を容認し見逃すのか理解に苦しむところがありますが、もう少し看板に恥じないまともな報道を心がけていただきたいものだと強く要請したい気分です。
通常のメディアは不買運動などで撃退することができますが、ネットで公表されしかも金融市場のヘッドラインに登場するメディアの場合いかんともしがたいのが実に歯がゆいものとなっています。
(この記事を書いた人:今市太郎)