先週は何を書いたかよく覚えていませんが、週明けのマーケットは「雇用統計」の予想に反した結果をひきずることになると思います。
その後、例のごとく楽観論に支配されて押し目買いの空気になると思いますが、どうなのでしょうか?
来週の予定
来週でのアメリカ市場での重要な「経済指標」はISMの非製造業になります。この数字は堅調に推移すると思います。しかし、イマイチ、ISM指数がなぜ、重要なのかはわからない方も多いと思いますので、少しだけ解説をしておきます。
私たち投資家にとって、将来の景気の動向というのは非常に重要なことです。なぜなら、価格動向にダイレクトに影響を与えてくれるからです。
つまり、政府から発表される経済指標というのは、現実の数字をあてはめたもの、ないしは経済の実態から遅れているもの、それと景気の動向を見極めるためのもの、3つがあります。
これを先行、一致、遅行指数というのですが、このうち、景況指数、たとえばISMや「日銀短観」、「PMI」などはマーケットに先駆けて上昇するものと言われています。そのほか、設備投資や住宅投資なども先行指数になります。
つまり、マーケットが上がる前に、これらの数字は上昇するので、非常に重要な指数ということになります。参考までに雇用は完全に遅行指数であり、正直、いって景気に遅れて雇用は生まれるものですからマーケットには参考になりません。
つまりISM指数というのは景気の先行指標であり、特に、非製造業は、サービス業になるわけですからアメリカな主な収入源になるのです。ですから、非常に重要な意味合いがあります。
製造業もアメリカの主な産業ですし、農業もアメリカは穀物生産に関しては世界有数の生産国であり、輸出国です。しかし、サービス業などの三次産業の占める割合のほうが大きいので、重要になるのです。
その上、石油も消費も生産も1位ですから、どれだけアメリカが巨大な国ということがわかるかと思います。やはり、いろいろな指標があると思いますが、これが一番、重要になると思います。
労働生産性というのも最近は、注目をされていますが、あくまでも、トレンドであって普遍的なものではない、ということです。参考までに、「イエレン議長」は労働市場の専門家ですので、「FRB」が労働市場に偏向するように見えるのは偶然の一致ではありません。
そして前任の「バーナンキ」はリスク対応の専門家です。きちんと専門家が就任しているのは日本とは大違いです。復興大臣が佐賀県選出の議員なんて、まともな人選ではありませんよね。
そのほか、重要なことは「金融政策決定会合」がユーロとオーストラリアであるということです。
前にも振れたように、世界の「金融政策決定会合」で気にすることはドル安に振れるような政策が発表されるか、どうかです。特に、「リーマンショック」、南欧債務危機に関して、ユーロの資本が主にオセアニアに流れた経緯をみると、オーストラリアは無警戒でしたが警戒しなければなりません。
ただし、ドル安はオーストラリアにとっては投資を促進する手段になりますので、有害なことにはなりませんが、下ぶれ警戒になります。2007年からユーロオージーが下がり続け、10年が経過しています。
今後、ユーロ高になるようになると、オセアニアからの資金流出が顕著になります。ドル安が極まったところで買い出動をしたいものです。それによって、オセアニアやブラジルの経済危機も見ておかなければなりません。
グローバルな株価
アメリカのナスダック市場はいち早く、株価が反応し連日、新高値を更新しています。しかし、この新値更新劇場が、いつまで続くのか懐疑的には思わなくてはいけない水準にきています。
そして一番、アメリカで出遅れているのはニューヨークダウになります。今後、アメリカの株を見るときには、ナスダックをみなければならないでしょう。日経は、内部要因をみると買い主体が政府ですので、これは逃げません。
しかし、暴落しても逃げられないのは事実であり、下がった場合には極端に流動性が不足する可能性があります。つまり手仕舞いしたくてもできない状態になる可能性も高いことを忘れないでほしいと思います。日経の動向は下ぶれも上ぶれもあるとみています。
来週はどうなるのか?
結論からいえば、FBI長官の議会証言やイギリス総選挙の結果によって大きく変わるのではないか、と思っています。テクニカル的なドル円は、きれいな円高方向を維持しており、曇りの部分があるとすれば、まだ上を向いている線がありますので、その線が↓を向き始めれば、本格的な売り始動なのかな、と考えています。
具体的にいえば、前にもみなさんに教示しました日足30になります。上を向いているのはこの線だけです。結論からいえば、まだ、行ったり、来たりするのではないか、と思っています。
(この記事を書いた人:角野 實)